2019年8月11日 更新

Facebookの仮想通貨「Libra」はどうなる!?

Facebookは6月18日、独自の仮想通貨「Libra」を2020年に発行する予定だと発表しましたが、その後世界中からの注目と共に、懸念や批判など厳しい声が相次いでいます。 さて、今後Libraはどう展開していくのでしょうか?

Facebookは6月18日、独自の仮想通貨「Libra」を2020年に発行する予定だと発表しましたが、その後世界中からの注目と共に、懸念や批判など厳しい声が相次いでいます。
さて、今後Libraはどう展開していくのでしょうか?
仮想通貨はあまり興味がない…という人も、あのFacebookが発行する仮想通貨ですから、注目している人も多いことでしょう。
そこで、今回はLibraの目的やビットコインとの違い、どのような問題点があって懸念されるのかなどをわかりやすくお伝えしたいと思います。

Libraの目的は?

Libraは、より安価な国際間の送金と「金融包摂」を目的として掲げています。
「金融包摂」とは、手頃なコストで全ての人々へ基本的な金融サービス(貯蓄・決済・送金・保険など)を利用できるようにする取り組みのこと。
開発途上国など世界には17億人が銀行口座を持っておらず、国境を越えた送金には数日から1週間程度の時間と高額な手数料がかかるため、国外で働く人などが自国へ送金する際には大きな負担となっています。
Libraを利用することで、銀行口座を持たない人でもメールを送るくらい簡単で安価に国際間送金が可能になります。

Libraとビットコインとの違いは?

「ステーブルコイン」で価格が安定

ビットコインを代表とする既存の仮想通貨は、価格の変動が激しく価値を保証する資産もありません。一方Libraはステーブルコイン(資産担保型の仮想通貨)なので、米ドル・ユーロ・円などの主要通貨と連動する仕組みになっています。

決済がスピーディー

ビットコインでも送金や買い物で決済できますが、1秒に7件の処理しかできず時間がかかります。
Libraは1秒間に1000件の取引を処理できるといわれており、ビットコインよりもスピーディーに決済できます。

Libra協会が運営

Libraを運営するLibra協会は、現時点でもVISAやPayPal・eBay・Uberなど名だたる28の企業が参加、今後はさらに100団体の参加を目指しています。
(参加には厳しい条件があり、2000万人程度のグローバルユーザーにリーチできることや10億円程度の投資をすることなど)

採用されるブロックチェーンの仕組みが異なる

ビットコインが採用しているのはパブリックブロックチェーンと呼ばれ、中央で管理する人間は存在せず、ネットワークに参加する全ての人々がデーターの管理を行うような仕組みです。そのため、非中央集権であると表現されています。
一方、Libraが採用するのはコンソーシアムブロックチェーン。グループ内だけで動くブロックチェーンなので、中央集権的であると表現されています。

Libraの問題点は?

Facebookの信頼性の低さ

Facebookは2018年、8700万人もの個人情報を流出。FTCが1年以上をかけた調査の結果、7月24日に50億ドル(5400億円)という史上最高の制裁金を支払うことで合意に至りました。
米金融調査会社の最近の調査によると、FacebookのLibraは信頼性に欠けるため、ほとんど使用しないと考えている人が5人中4人いたと発表しています。

Libraが悪用される懸念

マネーロンダリング(資金洗浄)やテロ資金支援、さらに米国から金融制裁を受けている国が制裁逃れの手段として悪用するなど多くの懸念材料が挙げられています。

金融システムの安定を脅かす可能性

27億人いるとされるFacebookのユーザーが、自国の通貨ではなくLibraを使用してしまうと、通貨の信任が失われるとともに、中央銀行の政策が機能しなくなる可能性も指摘されています。

Libraについては、トランプ大統領はじめ各国の首脳や中央銀行は警戒心をあらわにしています。
一企業が国家の枠を超えた巨大経済圏をつくろうとしているのですから、当然のことといえるかもしれません。
先日パリで開かれたG7(先進7か国)財務相・中央銀行総裁会議でもLibraに対し「最高水準の規制を満たす必要がある」との認識で一致した模様です。

日本でも関係機関によってLibraの規制を検討中のようです。
さらに、最近発表したFacebookの報告書には、「Libraが計画通り利用可能になるかは保証できない」と書かれているとか。予定されていた2020年前半のリリースは、大幅に遅れることが必至と見られます。

投資で陥りやすい7つの落とし穴

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