「現代の魔法使い」落合陽一研究

落合陽一氏といえば、筑波大学准教授で学長補佐。実業家でメディアアーティスト。2015年発売のベストセラー「魔法の世紀」にちなんだ「現代の魔法使い」がニックネームという人物。テクノロジーとアートの融合がもたらす魔法のような未来を目指す、落合氏の世界を覗いてみました。

2018.8.10

デジタルネイチャーな世界観とは?

発売から5日で初版が完売したベストセラー「魔法の世紀」は、大きな注目を集めました。筑波大学で研究室を主宰する彼のラボの名称は
「デジタルネイチャー研究室」。
デジタルネイチャーとは、落合氏が提唱する未来型世界観なのですが、詳細な説明をすると以下のようになります。
“(デジタルネイチャー)はコンピュータと非コンピュータリソースが親和することで再構築される新たな自然環境であり,人・モノ・自然・計算機・データが接続され脱構築された新しい自然です。”
引用:デジタルネイチャー研究室ホームページ
つまり、人間、自然、デジタルリソース(コンピューター)がシームレスにつながり合うという世界観。
デジタルネイチャーを語る上で、欠かせないキーワードが「ユビキタスコンピューティング」です。ユビキタスとはラテン語で「偏在する」という意味ですが、「ユビキタスコンピューティング」になると、こういった意味になります。
“コンピュータがいたる所に存在(遍在)し、いつでもどこでも使える状態をあらわす概念”
出典:Wikipedia
確かに落合氏の作品は、デジタルリソースが私たちの生活圏を包み、生活の質を向上させることを目的としています。落合氏の作品はYouTubeで確認できます。
余談ですが、ユニバーサル志向の落合氏のこだわりにより、彼の動画には全て英語で解説が入ります。TEDにも何回か登壇している落合氏の英語スピーチ動画を見てみると、ネイティブ風の発音ではありませんが非常に早口で流ちょうな英語を扱い、自らの世界観を世界発信できる人物であることが分かります。

2次元と3次元の華麗なる融合

YouTubeにアップされた動画には事象が美しく撮影されているだけでなく、論理もきちんと図解されているので学術的にも価値が高いのでしょう。
「フェアリーライト」という名称の空中ディスプレイは、触れた感覚を覚えることができます。

Fairy Lights in Femtoseconds: Tangible Holographic Plasma (SIGGRAPH)

また触れることで映像を構成する「ピクセル」を操作でき、映像を変化させることも出来ます。
「日本人が開発した触れる「3D映像」の可能性」 によると、この技術を応用して将来膝の上にPCのキーボードを投影させたり、ビデオチャットの相手に触れたりといった体験が実現するかもしれないそうです!

最終目標は、宇宙生活のアップデート?

「ピクシーダスト」と呼ばれるこの研究は、動画を見ていただければわかる通りものを空中に浮かす研究です。そして、空中にものを浮揚させているのは「指向性スピーカー」、音波だというのです。

Pixie Dust Levitation Technology Short version(2014-)

出典:YouTube「Pixie Dust Levitation Technology Short version(2014-)」
「IoTはもう古い。ポスト「モノ」時代の魔法とは?」 によれば、ピクシーダストの最終目標は宇宙進出です。宇宙は無重力の為すべてが浮いてしまいますが、この音響場による物体浮揚技術を用いれば、宇宙空間でも物体をピタッと固定させられるはずだと落合氏は語ります。
宇宙空間でも物体を固定させられれば力場ができる。力場が出来れば、宇宙空間で机として機能するものが作れるし、使用できると語る落合氏。
研究資本だけではそのような高邁な研究は不可能なため、プロダクトにして会社に販売させて元手を調達しようと発想するあたりも、落合氏の事業センスを併せ持った天才ぶりを伺わせます。

まとめ

「IoTはもう古い」と言い捨てる落合陽一氏。彼の作品やビジョンを見てしまうと、デバイスの中にのみテクノロジーが息づくIotは少々不自由に見えてきてしまいます。ON/OFFのスイッチは空中で人間に帯同し、呼んだ時だけ姿を現す。こんなSF映画で見たような光景も、落合氏なら作り出せるかもしれません。
しーな

しーな

システム開発業の夫を手伝いながら身に付けた知識で、2017年からIT業界を中心に扱いライティングをしています。3児の母です。IT業界や成功者に興味があります。
]]>