平成の時代が終わり、2019年5月1日、新元号「令和」の時代がはじまりました。そもそも漢字とはさまざまな意味が秘められており、メッセージ性があるといえます。今回は「令和」の由来・意味などをはじめ、元号について考えていきます。
「平成」から「令和」へ。元号の変遷
平成から令和へと、元号が移り変わりました。そもそも元号とは、645年の大化の改新時に「大化」という元号が制定されたのがはじまりです。その後長きにわたりさまざまな元号が制定され、今回の「令和」はなんと248番目の元号となっています。
元号はアジア東部での紀年法のひとつであり、古くは中国において紀元前115年ころ、「建元」という元号からはじまったのが起源とされています。しかし中国では1945年に元号廃止となりました。
参考:内閣府|元号についてhttps://www.cao.go.jp/others/soumu/gengou/index.html
令和の出典は「万葉集」から
元号の候補を考案するうえで留意すべきことについて、6つのポイントが挙げられています。
・国民の理想としてふさわしいようなよい意味を持つものであること
・漢字2文字であること
・書きやすいこと
・読みやすいこと
・これまでに元号・おくり名として用いられたものでないこと
・俗用されているものでないこと
参考:内閣公文・国立公文書館|元号選定手続についてhttps://www.digital.archives.go.jp/das/image/M0000000000001159113
上記のうち「国民の理想としてふさわしいようなよい意味を持つものであること」を踏まえると、使用する漢字に対する意味・由来が大きく影響することが想定されるでしょう。
令和は、7~8世紀ころに成立したとされる、現存する日本最古の和歌集「万葉集」が出典です。万葉集は万葉仮名を含めすべて漢字で書かれており、約4,500首以上も集められています。そのなかでも大伴旅人が詠んだとされる梅花の歌の序から「令和」の漢字が用いられました。
「初春の令月にして 気淑く風和ぎ 梅は鏡前の粉を披き 蘭は珮後の香を薫す」
引用:内閣府|改元に際しての内閣総理大臣談話
https://www.cao.go.jp/others/soumu/gengou/index.html
これは大宰府にて32人が集まり催された「梅花の宴」での説明文とされます。「令」とは「よい・善」という意味があり、「令月」とは「よい月・素晴らしい月」という意味を指します。
そして多くの人が集まり、和歌を楽しみ心通じ合わせる姿が「和」に通じ、「平和」へのメッセージも込められているとされています。
近年の元号と出典元の違い
「令和」は、これまでになかった国書からの引用という点が大きくクローズアップされました。というのも、これまでの元号は中国古典から引用され、元号が制定されてきているのがポイントです。
たとえば「平成」は史記の五帝本紀・書経からの出典であり、「昭和」は書経からの出典です。「大正」は易経で、「明治」も同じく易経です。近年の元号でもさまざまな古典をもとに制定されていますが、「令和」のように国書からの引用ではなかったのです。
日本の元号は世界で唯一
日本ではなじみのある元号ですが、現在では日本が世界で唯一元号を使用している国です。そもそも元号とは、古代中国における皇帝の支配力の象徴ともいえるものでした。日本でも昭和まで元号制定は天皇が行っており、天皇の権威をあらわしていたともいえます。
しかし一方で、天災・戦乱などの転機に改元する場合には、権威だけではなく「よりよい時代になるよう」との期待・願いが込められて制定されてきたケースもありました。
新元号は日本の将来を明るく期待させる存在に
新元号になったことで、多くの人がこれからの時代がより明るく期待を持てることを願っていることでしょう。合同世論調査によれば、新元号の令和について、いいと思っている人が87%という結果が出ています。
参考:産経新聞|【産経FNN合同世論調査】令和「良い」87%、内閣支持率5.2ポイント上昇https://www.sankei.com/politics/news/190408/plt1904080040-n1.html
また万葉集からの引用だったことで、日本の古典から引用されたことがよかったと答えた人は75.8%とのことでした。そして、78.3%もの人が「平成よりも令和の時代のほうがよい時代になることを期待している」と回答しています。
元号は漢字を使ってあらわされており、さまざまな意味を持ちます。今回の「令和」が多くの人にとって明るい未来の象徴となることを願ってやみません。