2020年2月17日 更新

“手元にアート”生活を身近に。進化するデジタル美術館を楽しもう!

先日、美術界でこんなニュースが注目を集めました。“パリの14の美術館による団体Paris Musées(パリ・ミュゼ)が、“約15万点の作品画像をWebで無料利用可能に” 。 Webには美術品の画像が溢れているというのに、「え、今更なんでそれがニュースなの?」

Paris Musées(パリ・ミュゼ)サイトより



2020.2.17
今月はWeb上の「デジタル美術館」についてみてみましょう。
インターネットが身近になった90年代。2000年ごろには、Webサイトで情報を得ることが当たり前になっていましたよね。
でも、美術館や博物館のWeb利用は、世間の流れからは少し遅れていたようです。
そういえばWebが登場するまで、美術作品を見ることができるのは実物、または、限られた印刷物や映像のみでした。
多くの美術作品の画像使用には、その作品自体の権利の他、作品を正式に撮影した写真の権利などなど、まわりに発生する様々な権利を、法律にのっとってクリアにする作業が発生します。作品の著作権が保護されるのは没後70年。でも、美術館に所蔵されるようなアーティストは、そのご遺族や団体などがしっかりと著作権を引き継ぎ、管理している場合が多いのです(権利団体、というと少々高飛車に聞こえますが、作品を後世まで変わらぬ姿で保存、公開していくために守る、という大事な役割を果たしています。)
更に、トリミング等この改変はOKだけどこればダメなど、各権利者が指定する使用条件、実物にできるだけ近づける細かな印刷色味の調整、クレジット表記、画像使用料の支払い・・・美術作品、それも古の・・というと公共のイメージが強いですが、例えばもっと身近な、音楽や商品のデザインと同じように、「うちの持ち物だからうちの自由」というわけではないのですね。
状況はアーティストや作品によってそれぞれバラバラですから、一点一点確認しクリアにするのは大変な作業。一回の展覧会で数百点、大きな館の所蔵品は数万点に及びます。展覧会のポスターや図録なども、そんな細かな過程と労力を経て出来上がっているのですね。
さて、そこにネット時代到来。
印刷物はそれが最終形態、と責任を持てますが、Webにデータとして出回る画像の行先は不特定多数無制限。予期せぬ使われ方や改変が行われても責任が持てないし、デバイスによって色味はかなり幅が出てしまい、大事な作品の正しい姿が伝わるかどうか・・・またデジタル化作業はもちろん、作品の保存管理にはかなりの手間と費用がかかっていますから、採算も考えなければ・・・。
かかる労力と、かわいい子に旅をさせる未知数の懸念。「Webで、作品をもっと多くの人に、日常的に楽しんでほしい、でも・・・」という学芸員さんたちのジレンマを、よく耳にしました。
Google Arts & Culture より
それでも、各館・団体のみなさんがじわじわと細かい確認作業と努力を重ね、2000年代半ばからは、 “サイトで所蔵作品を公開”という美術館が増えてきます。 サイト充実とともに、2015年にはブラウザ上で世界各国の美術館めぐりができるGoogle Arts & Cultureなども始まります。

(拡大して細部を見る事ができるのはデジタルデータならではの楽しみ!)
この「ブラウザ上で閲覧」(ダウンロードは不可)がデジタル美術館の第一形態。これだけでも充分楽しいのですが、ここでも高精細な画像を手元で利用したい場合、個別申請・使用料などひと手間を要する、やはり限定された世界になるのです。
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