──『手ぶらで生きる。見栄と財布を捨てて、自由になる50の方法』特別編集[第1回] ミニマリストしぶ
「ほしい」と思った物はさっさと手に入れてしまうに限る。
必要かどうかは手にして初めてわかるし、必要がないとわかれば、すぐに売るなり手放せばいい……というのは、これまでにも述べてきた通り。
一方、「捨てる·手放す」もすばやく行いたい。迷う物は「なくても大丈夫な物」だからだ。
たとえば、現代人で「スマホを捨てようかな」と迷う人は少ないと思う。ないと生活に困るから。本当に必要な物は、「捨てよう」なんて発想にすらならない。
そして、「ほしい」「捨ててもいいんじゃないか」と感じた直観は、ほぼあたっている。イスラエルのある大学の研究でも、人間の直観は90 %近い確率で的中することが証明されている。
「なんとなく」という直観は、脳がこれまでインプットしてきた経験や学習のデータベースから、無意識のうちに引き出された答えなのだという。
僕自身、「捨てるかどうかで迷って躊躇していたけど、捨てたら捨てたでなにも困らず、むしろ清々した」という経験が多々ある。逆に「捨てるんじゃなかった」と後悔することは、めったにない。あったとしても「やっぱり必要だったんだ」とわかり経験値が蓄積されるだけ。後悔ではなく、成長に必要だったポジティブな失敗だ。
これは捨てるときだけでなく、買うときもそう。「一目惚れした物を買う」というのは、僕の購買ポリシーでもある。今となっては、一目惚れする物なんてめったにないが、それだけ貴重な物でもある。
もちろん, 一目惚れして衝動買いをするのではなく、少しの時間をおいて、下調べをしたうえで購入するかどうかを判断する。でも、一目惚れした物は、どれだけ時間をおいても「やっぱりほしい」となることがほとんど。必要最小限なことだけを調べて、できるだけすぐ買うようにしている。
ただし、捨てるにしろ買うにしろ、なぜその物に惹かれたのか、「なんとなく」で済ませず、原因分析もセットにしよう。
たとえば、服1着を捨てるにも、「色が奇抜で着回しが難しかった」「セール品を妥協して買った」など、捨てる理由を考えることで、「余計な物を買わないコツ」がわかってくる。
直観の90%が的中するとはいえ、たまの10%で外すこともある。でも、仮に間違った直観で物を買ってしまったとしても、今は売ったり譲ったり、手放す方法がたくさんある。
僕もクラッチバッグ、キャリーケース、タブレットPCなど、これまでにさまざまな物を買っては手放してきたが、これらの物を入手し、そして手放した経緯は、僕のミニマリストとしての直観を磨いてくれたように思う。