メルカリ上場は、いきなりIPO株が脚光を浴びる「事件」となりましたが、そもそもIPO株の値段についてどう考えればいいのか? インベスターZの名言から学びましょう。
【IPO研究】6/19メルカリ上場が異次元すぎる。営業赤字でも公開時時価総額は4千億円!

日本では数少ない「ユニコーン企業」のひとつ、メルカリ。そのメルカリが上場のため、財務資料が公開しています。企業研究をしてみました。
その時計は、なぜ高額か
『インペスターZ』で、孝史が美雪の着けている高級腕時計を見て、「投資家の着ける腕時計じゃない」と否定するシーンがあります。
企業の株価を説明するときに、高級腕時計はいい材料になります。男性でも女性でも、ファッション誌に100万円、あるいはそれ以上の値段の時計が載っているのを見たことがあるのではないでしょうか。たとえばロレックス、オメガといったブランドもそうですし、カルティエ、シャネルなどもそうです(このお話には「マニュファクチュール=自社一貫生産」で生産される最高峰の高級時計はふくみません)。
さて、高級腕時計は機械式というゼンマイを軸にした内部機構で動いているので、作りが複雑です。職人による専門的な工程を幾つも経て製品になるため、相当なコストがかかっています。とはいえ、それだけで数百万円の値段にはなりません。ファッション誌への広告費、スポーツ大会への協賛費用もかかっています。また、著名な俳優やスポーツ選手と年間契約してモデルに起用していますから、その費用もふくまれています。
そう考えると、腕時計の「適正価格」はいくらになるでしょうか。「モノ」自体の値段で言えば、もっと低いかもしれません。孝史はそこを指摘し、「この時計が高いのはほとんど広告費だ」と言い放ったのです。時計以外でも、この手の話はゴロゴロしています。たとえば、ポストに投函される新築マンションの広告。5000万円、1億円!ここにも、広告費やモデルハウスの値段がふくまれています。高級車もそうですし、高級ホテルもしかりです。世間で「ブランドビジネス」と呼ばれるものの多くは、こういった値付け構造を持っていますが、本当の値打ちはいかほどか? このことを真剣に考える人は多くありません。
むろん、わたしはブランドビジネスが間違っていると言いたいのではありません。
モノと情報が行きわたった現代で「売れる」ためには、利便性やスペックだけでは足りません。信頼や格式、あるいは商品のバックにあるストーリーが決め手になることは多い。
しかし、投資家たるもの、その付加価値をふくめて適正かを常に気にとめる必要があります。たとえば、IT企業が新規で株式を公開する(IPO株)ときは、実際の実力以上の値段になる場合が多くあります。これは,企業の未来への期待を反映した数値で、これだって付加価値です。みんなが拍手を送っているときこそ、冷静に見つめて欲しいと思います。
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