あなたはどのタイプ?天才に見る生活習慣

あなたの常識を、アップデートしよう。
天才といえども生活習慣がある――250 人以上の天才の日課を紹介したのが、メイソン・カリー著『天才たちの日課』。生産性向上と一口に言っても方法は様々です。実際に人類にとって大きな偉業を成し遂げた彼らの生活から、自分自身に合った生活習慣を探すヒントを探してみましょう。
2018.6.22(2021.7.1更新)

日の出とともに起床?! 朝型の天才達

高い生産性のために「朝活」や「前業(始業前に業務を始めること)」という言葉ができるくら
い、朝の活動が重要視される昨今。天才達に中にも、早朝から活動を始める人々がいます。
日本人の小説家・村上春樹はその典型。朝5 時から開始して10 時までに5 時間ほどの執筆をこ
なします。午後は水泳・ランニングなど強度の高い運動をするほか、雑用・読書・音楽鑑賞な
ど。5 時前に起きるという超朝型のため、就寝時間は21 時です。長編小説には体力が必要という
ことで、この習慣が出来上がったのだとか。
日の出とともに起床するもう一人の天才は、作曲家サティ。パリ中心部から郊外へ引っ越したあ
とも、起床すると10 キロ近い道のりを中心部までゆっくり歩くのが日課でした。中心部に着く
と友人と会ったり作曲をしたり。夕食以降はキャバレーで演奏の仕事をしたり飲み歩いたりし
て、うっかり終電を逃してしまうことも多くあったといいます。そんな日はまた10 キロ歩いて
帰るのですが、朝はやはり日の出の頃に起きます。
他にも、起床は7~8 時だけど午前中に仕事を済ませて午後は散歩をするというパターンの天才
達が複数見られました。

本格始動は世間の数時間遅れ? 夜型の天才達

こうして見ると「やはり朝型は生産性が高い」と感じるところですが、同時に天才達の中には恐
ろしく夜型の人も多数見られるのも事実です。
アメリカ音楽を作り上げた作曲家ジョージ・ガーシュインの起床時間は午後も遅い時間。パジャ
マのまま3~4 時間仕事し、昼食と散歩の後にまた仕事。夕食の後も数時間の仕事をしました。
夜型といっても生活習慣を重視し、習慣によって生産性を高めていました。「夜型は生活サイク
ルの乱れ」と考えられがちですが、ガーシュインの生活習慣は夜型で生活サイクルがしっかりで
きあがっている例と言えるでしょう。
ガーシュインよりやや遅く始動するのは、エジソンのライバルといわれた発明家ニコラ・テス
ラ。昼に出社して真夜中まで仕事をします。テスラには私達が真似すべきでないユニークな習慣
̶̶夕食に訪れたレストランでカトラリーを1 本ずつ、丁寧にナプキンで拭き、出てきた料理の
体積を計算してから食べること̶̶もありました。
天才ピアニストのグレン・グールドは「夕暮れにコウモリやアライグマといっしょに」始動しま
す。友人への電話攻撃で自分の目を覚ましてから仕事に取りかかり、レコードやラジオを毎日6
~7 時間聴いたり新聞を5~6 紙読んだりするのが日課。そして、世間が寝ようとしている23 時
から再び友人への電話攻撃を開始。電話口の相手が眠ってしまっても気づかないほど夢中で独り
言を言ったりメロディを口ずさんでいたりしたのだそうです。

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その他様々なスタイルの天才達

天才達の生活習慣は実に様々で、「朝型」「夜型」とはっきり分けられないタイプも多く見られ
ます。
まず長時間睡眠で有名なのが、科学者アインシュタイン。起床は午前9 時頃で昼食まで研究室で
仕事をし、昼食後に昼寝。その後は夕食を挟んでまた仕事をするのですが、夕方以降は睡眠を何
よりも優先したということです。
反対に、ピアニストで交響詩の創始者フランツ・リストは短時間睡眠。日中に2 時間ほど昼寝を
するため2 相睡眠の習慣を持っていたとも言えるかもしれません。日の出頃に起床して教会へ行
き、昼食まで仕事。夜もお酒を飲みながらピアノや書き物をして、午前1 時に就寝する生活でし
た。
また、作家マリリン・ロビンソンはインスピレーションに突き動かされた執筆を重視し、特定の
スケジュールにはこだわりません。本当に書きたいとは思っていない状態で書いても駄作になっ
て落ち込むからです。加えて、不眠症で目覚めた時間を有効活用し読書や執筆に充てています。
生産性を上げる生活習慣は、自分に必要な睡眠時間や体力的に可能な1 日の仕事量、自分の性格
との相性がポイント。天才達の習慣をヒントに自分自身に適したスタイルを探してみてはいかが
でしょうか。

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【参考】
メイソン・カリー(金原瑞人・石田文子 訳)『天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしも
クリエイティブでない日々』、フィルムアート社、2014 年

Anshi

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