2024年1月19日 更新

ビジネスでよく使う「短期」「中期」「長期」はどのくらいの期間?

ビジネスや経済メディアでよく見かける「短期」「中期」「長期」「中・長期」とは、何年ぐらいなのでしょうか? 実際には短期は1年以内、中期は3~5年がおおよその目安ですが、それには企業会計や経営計画に由来する理由があります。この期間の視点のバランスは、キャリア設計や資産形成に大いに役立ちます。

企業会計では、返済までの期間が1年を超える借入金は全て「長期借入金」になっていますが、ビジネスの世界では「中期」という言葉がよく聞かれます。それを長期とひっつけて「中・長期」と呼ぶこともよくあります。その「中期」とはどこからきた言葉で、どれぐらいの期間を指すのでしょうか?
「中期」「中期」とよく言われるのは、「中期経営計画」略して「中計(ちゅうけい)」をつくる企業が非常に多いからです。1年を超えれば中期になりますが、中期経営計画の期間は3年、5年が多くなっています。その中身は「事業の選択と集中を進める」「こんな事業に進出する」などけっこう具体的で、その数値目標も「売上高何億円以上達成」「営業利益何億円以上達成」「ROE(自己資本利益率)何%以上達成」など明確です。それだけ重要で、企業の外部からも注目されているのが中期経営計画なのです。
この中期経営計画の期間に3年、5年が多いために、ビジネスの世界では「中期」と言えば「3~5年」だという共通の認識ができています。それを超えて、たとえば7年とか10年になると中期の範囲を超えて「長期」とみなされることが多いようです。
中期経営計画があれば「長期経営計画」もあるのでしょうか? 企業によっては「長期ビジョン」「20××年のわが社のあるべき姿」などのタイトルがついた10年後や20年後の計画を発表しているところがありますが、その数はあまり多くありません。中身の記述もあまり具体的ではなく、数値目標も入っていないか、あいまいです。
なぜなら、グローバルな政治、経済、ビジネスの世界は変化が激しくなる一方で、10年後や20年後を予測するのは非常に困難だからです。「せいぜい5年先までの計画を立てるのが精いっぱい」というのが経営者の本音です。考えてみてください。10年前の2009年、アメリカでオバマ大統領が就任したばかりの時、ドナルド・トランプ氏は「不動産王」としてすでに有名人でしたが、政治経験がなかった彼が10年後にアメリカの大統領になっていると、誰が予測できたでしょう?
ですからビジネスの世界で「中・長期」と言っている時は、実際にはそのほとんどは「中期」で、せいぜい5年先までを指しています。

寺尾淳(Jun Terao)

本名同じ。経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、現在は「ビジネス+IT」(SBクリエイティブ)などネットメディアを中心に経済・経営、株式投資等に関する執筆活動を続けている。
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