この言葉は魔法の言葉だ。それまで迷っていたお客も、この言葉を聞くと財布の紐がつい緩くなる」
「はい。だって専門の販売員の意見は、知識も豊富だから説得力がありますよ」
「はい。だって専門の販売員の意見は、知識も豊富だから説得力がありますよ」
「買い時というのは 、ふたつの意味がある 。それはお客にとって買い時という意味なのか、それとも相場の中で買い時のタイミング、という意味なのか。
ある意味、買い時なのは当たり前だよ。なぜなら、買う当人は 、その商品が欲しくて売り場に来ているんだから。当人の買い時なんだろう。販売員が言っている買い時というのは、この“買う当人にとって”、という意味だ。相場の中で買い時のタイミングという意味ではない 。だが、本当に知りたい買い時はこちらのはずだ」
僕は、老人の話に納得した。自分の過去を振り返っても、この買い時という言葉に自分を納得させて、お金を払った経験が何回もあった。
「それから、選択については、説明する必要もないだろう。あの商品よりもこの商品の方が優れているからという理由で、人はモノを選択する。
しかし、優れているのは、機能なのか、値段なのか、人はそれをつい混ぜこぜにして考えてしまう。それに、誰しも値段をケチってまずいものを掴まされた経験があるから、家や車のような大きい 買い 物になればなるほど、 機能を優先して選ぼうとする。
だが、そうして買うものは、価値以上の値段がつけられている場合がほとんどだ。家や車であれば、二年待てば中古もしくは型落ちとして、その時よりも安い値段で買えることがわかっているのに、お金をより多く出す選択をする。お金を多く出すことで、間違った選択をしていないという安心感を買っただけだ。本当にモノの善し悪しで選んだ選択ではない」
しかし、優れているのは、機能なのか、値段なのか、人はそれをつい混ぜこぜにして考えてしまう。それに、誰しも値段をケチってまずいものを掴まされた経験があるから、家や車のような大きい 買い 物になればなるほど、 機能を優先して選ぼうとする。
だが、そうして買うものは、価値以上の値段がつけられている場合がほとんどだ。家や車であれば、二年待てば中古もしくは型落ちとして、その時よりも安い値段で買えることがわかっているのに、お金をより多く出す選択をする。お金を多く出すことで、間違った選択をしていないという安心感を買っただけだ。本当にモノの善し悪しで選んだ選択ではない」
(毎週金曜、14時更新)

via amzn.asia
泉 正人

ファイナンシャルアカデミーグループ代表、一般社団法人金融学習協会理事長
日本初の商標登録サイトを立ち上げた後、自らの経験から金融経済教育の必要性を感じ、2002年にファイナンシャルアカデミーを創立、代表に就任。身近な生活のお金から、会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを構築。東京・大阪・ニューヨークの3つの学校運営を行い、「お金の教養」を伝えることを通じ、より多くの人に真に豊かでゆとりのある人生を送ってもらうための金融経済教育の定着をめざしている。『お金の教養』(大和書房)、『仕組み仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、著書は30冊累計130万部を超え、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。一般社団法人金融学習協会理事長。