このようにFRBの金融政策が経済の堅調さを受けて引き続きやや慎重に利下げを行うのか、それとも市場フレンドリーにハト派的判断をするのか、米国の長短金利を日々定点観測をしていく必要があります。今回の為替動向から、ここに為替市場のヒントがあるのが間違いありません。
最後に、今回のドル安はバランスシートの縮小が前倒しに終了されたことで今後も長期金利が下がっていく可能性が高くなりました。このような小さな変調が経済のバランスを崩すことがあります。また、グローバルな資金の流れを大きく変えることもあります。例えば、レパトリエーションの加速や本邦勢の外貨ヘッジの増加など。もし今回をきっかけに長期の景気拡大を支えてきた低金利政策と安定した為替レートが動き出すとなれば、ボラティリティの上昇と資産価格の振れ幅の増加を意味しています。これはかなり高い確率で相場の転換点になることは歴史が証明しています。また、日本のお盆時期は商いが薄くボラティリティが高く、仕掛け的な動きがあることも要注意です。
いずれにしろ相場の動きが出て、日頃の鍛錬が試される相場になりました。きちんと準備して臨みましょう。
今、世界の投資家は一番何に気をつけているのか
7月10日にパウエルFRB議長が議会証言を行いました。その内容が「7月利下げ」を強く示唆したことで、FRBが次回の7月末FOMCで利下げを行うと織り込んでいます。これを踏まえ代行業平均は2万7,000ドルの大台を超えました。決して危うく見えない市況において世界の投資家はどのようなことに気をつけているのでしょうか。
渋谷 豊
ファイナンシャルアカデミー総研代表 、ファイナンシャルアカデミー取締役
ファイナンシャルアカデミーグループ総研 http://fagri.jp/
ファイナンシャルアカデミー http://www.f-academy.jp/