STAGE編集部:気になります!
秋元康さんを見て思う 金融とエンタメの世界の共通点
かつて僕は、投資家のお客さんに企業の情報を調べて株価を予測し買ってもらう証券の仕事をしていたんですね。株式市場には金融用語で「効率的市場仮説」、つまり証券マンがどんなに血眼(ちまなこ)になって調べ上げたところで、A社がリコールしたと情報を公にした1秒後には世に広まって株式市場に織り込まれるから、それに投資したところで価値は出ないという説があるんですけど、僕は市場は完全には“効率的”ではないと思っていて。だから「この企業には皆は知らないけどこんな価値があるんだ!」という魅力を発掘して伝えることに注力してきました。これが、今いるエンタメの世界における「企画」の仕事とすごく似ていると感じている点で。
例えば秋元康さんがAKB48を立ち上げた当初は、秋葉原に劇場を作ってそこでアイドルに毎日公演をさせることに、ここまでの価値が生まれるとは誰も思っていなかった。そんな誰も信じなかった「会いに行けるアイドル」に価値を見い出し、世の中に広げていくという発掘作業が、証券マン時代の僕の仕事と通じるものがあります。
「事業」を通じてお金を増やすという行為は、“世の中の幸せの絶対量が増えている感じ”がして、とてもワクワクします。やはり自分は、新しい価値をゼロから生み出す作業が、言葉にならないほど好きです。
STAGE編集部:いま熱中されているSHOWROOMの仕事を通じて、前田さんはどんな世界を作りたいのか教えていただけますか?
取材・文=城リユア(mogShore)