2019年11月18日 更新

なぜ、世界のビジネスエリートは「禅(Zen)」に知的な関心を寄せるのか?

「禅」に強い関心を持つ世界のビジネスリーダーは少なくありません。世界中で多くの人が座禅を組み瞑想をしています。なぜなのでしょうか? 鈴木大拙という優れた紹介者の存在、60年代のヒッピー、昨今のマインドフルネスの隆盛などがからみあっています。

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2019.11.17

関心があるのは「禅」で、仏教ではない?

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アップル創業者のスティーブ・ジョブズ、ツイッター創業者のエヴァン・ウィリアムズ、世界最大級のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツCEOのレイ・ダリオ……彼ら世界のビジネスリーダーは日本の「禅(Zen)」に強い関心を持ち、「座禅」「瞑想(メディテーション)」を行っていました。グーグルやナイキやゴールドマンサックスでは、社員の「メンタルサポート」の一環として座禅や瞑想を奨励しています。
ニューヨーク、ロンドン、パリなど欧米の大都市には座禅や瞑想の指導を受けられ、実践できるセンターがあり、日本から来た禅宗のお坊さんが教えていることもあります。禅の愛好者には弁護士や医師、会計士、大学教授など知的な職業につく人が多いといいます。
そのため、日本人が海外に行けば、ビジネスエリートや知的な職業の人から「禅」について質問される機会がありそうです。とはいえたいていの日本人は禅宗についての知識を高校の日本史で学ぶ程度です。答えられなくても、禅が難解なのを知っている彼らは「日本人なのに知らないのか」とは思いませんが、禅についてある程度の初歩的な知識があったら、彼らとの関係をより深めることができるかもしれません。
ただ、大事なことは、欧米で禅に関心を持つ人は必ずしも仏教に関心があるわけではない、ということです。たいていの日本人は禅宗は仏教の一派だと理解していますが、彼らは「禅は数ある東洋思想の中の一つ」と、とらえています。
インド哲学や中国の道教の老荘思想(タオイズム)などと同列で、知的好奇心をくすぐられるような対象です。そして座禅や瞑想は、仏教の宗教的な行為から生まれながらもそれを超え、自分の心の内面を探れる「精神のトレーニング」だと思っています。インドのヨガのような宗教を超えたトレーニングなのですから、たとえキリスト教徒であっても抵抗なく座禅を組めるわけです。
日本人は奇妙に思うかもしれませんが、ドイツには参禅会を開いて信徒に座禅を勧めているキリスト教会があります。

禅を世界にひろめたキーパーソン「鈴木大拙」

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禅が、欧米を中心に世界に広まるのに多大な貢献を果たした日本人が、鈴木大拙(すずき・だいせつ/1870~1966年)という仏教学者です。キーパーソンとして名前ぐらいは覚えておきましょう。
金沢市の出身で東大哲学科に学び、鎌倉の円覚寺で禅の修行を積みました。アメリカに渡って、禅について英語でわかりやく紹介した本を著すと世界中で広く読まれるようになり、戦後、ニューヨークのコロンビア大学で禅を教えました。
今も、禅に関心を持っている欧米人で鈴木大拙の本を読む人は少なくありませんが、著作が盛んに読まれたのは亡くなって間もない1960年代後半でした。当時、西欧文明に疑問を持ちドロップアウトした「ヒッピー」の人たちが、東洋にルーツがあるカウンターカルチャー(対抗文化)として、インド哲学やタオイズムとともに禅にも大きな関心を持ち、鈴木大拙の英語の著作を読んでは見よう見まねで座禅を組んで瞑想を行いました。
後にアップルを創業するスティーブ・ジョブズ青年も、その中の一人でした。
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