気持ちを切り替える方法|ストレス解消を仕組み化できるNLPとは?

カルチャー
サクッと気持ちを切り替えるのが苦手な人は、小さなストレスを、あっという間に雪だるまのように大きくしてしまいます。抱えこんだストレスを上手に手放すために、NLPを活用した「正しい気持ちの切り替え方」を実践してみませんか?
2019.4.2

NLPは、心と身体を司る脳の取扱説明書

NLPとは、1970年代にアメリカの言語学者ジョン・グリンダー博士と心理学療法士リチャード・バンドラー(当時は学生)が、築いた「脳の取扱説明書」です。日本語にすると「神経言語プログラミング」という言葉になりますが、長いのでNLPとします。
NLPの大きな特徴は、実在する天才的なセラピストを徹底的に研究し、彼らのスキルをモデリング(真似)することで誕生した心理療法という点です。天才的なセラピストとは、「家族療法の母」として知られるヴァージニア・サティア女史。精神科医でゲシュタルト療法の創始者フレデリック・パールズ氏。精神科医で催眠療法家のミルトン・エリクソン氏の3人を指します。
脳の仕組みにかなったNLP理論は、必然的に、脳が司る心と身体の仕組みにもかなっています。心と身体が暴走して、脳がフリーズしてしまうストレス状態には、NLPの「アソシエイト」「ディソシエイト」というテクニックを使い分けることで対処できます。

ステップ1.自分の状態を把握する訓練

最初に、自分のタイプがアソシエイト寄りなのか、ディソシエイト寄りなのかを把握しましょう。両者の定義を説明します。普段どちらの状態でいることが多いですか? 
アソシエイトは当事者意識です。悩みや気がかりが頭を離れない、あの手この手で気持ちを切り替えようとしても無理、考えても無駄なことを延々と反復する……。ストレス状態は、アソシエイトしている状態なのです。しかし、パートナーとイチャイチャする、ライブやクラブで陶酔して踊る、ゲーム観戦に熱中するといった状態もアソシエイトですから、悪い意味ばかりではありません。
ディソシエイトは他者意識です。見知らぬ土地の災害をニュースで知ったからといって、途端に涙があふれる人はめずらしいでしょう。なぜなら、気の毒とは思っても、自分の身内が被害にあったわけではないからです。しかし、動揺して感情や雰囲気に流されないおかげで、すみやかに道徳的で公平な判断を下せるというメリットもあります。
ストレス状態の時には、アソシエイトとディソシエイト、どちらの状態が好ましいのか? もうお分かりですね。サクッと気持ちを切り替えたいなら、ディソシエイトする訓練が必要なのです。

ステップ2.気持ちを切り替える訓練

まずは、悩みやストレス要因を思い浮かべ、しばらくネガティブな感情を味わってください。まるで「小さい箱に閉じ込められているような気分」になってくるでしょう。

あなたは、小さい箱に自分を残したままで、そっと箱から出てください。必ず実際に立ち上がったり、数歩動いたりしなければなりません。

小さい箱に残された自分の残像を見てください。着ぐるみを脱いだような、幽体離脱をしたような気分は、ニュートラルで心地好く感じるはずです。さあ、完全にディソシエイトする最後の一押しとして、その場でジャンプします。
ディソシエイトしたあなたは、箱の中に残された自分を観察します。「この経験を乗り越えたら、何が手に入るのだろう?」「何を学ぶのだろう?」相手は大切な自分なのですから、批判的にならず、優しく肯定的に、建設的な意味や意義を見つけてあげてください。
上記の訓練を繰り返すことで、ストレス状態の時には、自由にディソシエイトできるようになります。

最後に

NLPは心理療法であるがゆえ、催眠療法と勘違いされることが多いのですが、むしろ「催眠状態から目を覚ますテクニック」と捉えるのが正しいです。
たとえば、犬は噛むので危険、犬は忠実で愛情深い、どちらも立派な催眠状態といえます。こうした日常的な催眠状態が、冷静になるべき時にアソシエイトしてしまう、幸福を満喫すべき時にディソシエイトしてしまうといったストレス状態につながるのです。
NLPには、他にも恐怖症の迅速治療フォビア、本来の気質を知るピュリティのワークなどがあります。興味のある方は、ぜひ日常生活に生かしてください。 

参考
山崎啓支著「成功と幸せを同時に手に入れる ほんとうに役立つNLP」PHPビジネス新書,2013年
フレデリック・S・パールズ著「ゲシュタルト療法―その理論と実際」ナカニシヤ出版,1990年