健康診断で高血圧や血圧が高めと診断される人は少なくありません。実際に厚生労働省では、40歳以上男女の半数以上が高血圧症と報告しています。そこで今回は、高血圧対策におすすめの有酸素運動について解説していきます。
2019.6.5
高血圧対策に有酸素運動がおすすめの理由
日本高血圧学会のガイドラインには、高血圧症の発症や予防には身体活動の増加が有効と掲載されています。運動することで血管の機能が改善、降圧作用が得られて高血圧症の改善につながるためです。
ただし、強度の高い運動は血圧上昇の危険性がありますし、反対に強度の低い運動はほとんど成果が得られません。血圧対策には、中等度の運動がおすすめです。中等度とは、運動をしていて少しきついと感じる強度を言います。
次からは、中等度の運動ができる有酸素運動について説明します。
高血圧対策①ウォーキング
ウォーキングは、特別な道具が必要なく、運動初心者でも手軽にできるおすすめの運動です。また、運動強度も調整しやすいメリットもあります。ただし、ウォーキングと言っても、歩くだけでは負荷が低すぎるため、高血圧対策に重要な中等度の強度は得られません。そのため、運動強度をアップさせる必要があります。ポイントは3個あります。
1個目は、姿勢をよくすること。猫背にならずに、あごを引いて胸を張ることが大切です。スムーズなウォーキングでき、体幹の筋力も強化することができるでしょう。
2個目は、大股で歩き、かかとから着地しつま先で蹴ること。そうすることで、脚の可動範囲が広がり、筋肉も大きく使われるため、運動強度が高くなります。
3個目は、腕を大きく振り、肩甲骨をよく動かすことで、上半身の筋肉も効率的に動かすことができます。また、腕の動きに連動して下半身の動きも大きくなるため、運動強度をより高くすることができるでしょう。
高血圧対策②ジョギング
ジョギング(ランニング)は、ウォーキングに比べ負荷が高い運動です。そのため、運動初心者は、ウォーキングに慣れてからジョギングに移行することをおすすめします。ジョギングの際は、中等度の運動強度を保つことはもちろん、足腰に負担がかかりやすいため、やり方に工夫しましょう。
たとえば、上に飛び跳ねるジョギングは、体への負担が大きくなる恐れがあります。そのため、上方向ではなく、平行移動するように走ることが大切です。早歩きの延長という感覚で、滑るように走ることをおすすめします。また、外でジョギングする場合は、シューズに注意しましょう。サイズはもちろん、甲の高さや幅なども足に合ったものにしてください。
ジムを利用する方法もあります。ジムには、トレッドミル(ランニングマシン)の他、腕も同時に動かすエリプティカルトレーナー(クロストレーナー)などもあります。このような全身を動かすタイプのマシンを使用することで、より有効に有酸素運動ができるでしょう。
高血圧対策③水泳
水泳は、水の抵抗を利用して高い負荷を得ることができる全身運動です。有酸素運動としては、平泳ぎやゆっくりとしたクロールがおすすめです。また、水泳は筋肉の発達にも効果的です。そのため、肥満気味で代謝を増やしたい人にも、たいへん有効な運動と言えるでしょう。
泳ぎが苦手な場合は、水中ウォーキングでも通常のウォーキングに比べて十分高い運動強度を得ることができます。水の浮力があるため、ひざや腰への負担が少ないことも水泳の特徴です。そのため、腰痛やヒザ痛でできる運動が限られている人にもおすすめです。
高血圧対策④自転車
自転車もおすすめの有酸素運動です。サイクリングコースを速めのペースで走ることで、リラックス効果やストレス解消効果も期待できるため、より高血圧対策に有効でしょう。
ジムにあるステーショナリーバイク(エアロバイク)の活用もおすすめです。負荷が変動するプログラムで効率的に有酸素運動ができる、心拍数を測ることができるなど、メリットも多いでしょう。ステーショナリーバイクは、脚だけの運動ではなく、漕ぐ際に上半身の筋肉も使うため全身運動になります。また、シューズをペダルに固定させるストラップを活用すると、足を引き上げる際に使う腹筋なども鍛えることができます。
使用する際のポイントは、姿勢をよくすること、グリップによりかからないこと、そして適切な高さにすることなどです。スムーズな有酸素運動ができるように、特に高さには注意しましょう。脚を伸ばしたときに、ひざが少し曲がる程度に調節してください。
まとめ
有酸素運動は、日本高血圧学会で報告されているように、高血圧対策に有効な方法です。今回紹介した運動以外では、ダンスやテニス、バスケットボールなどもおすすめです。ただし、運動強度には気をつけましょう。体を動かしながら会話ができる程度の、激しすぎない運動を続けることが大切です。血圧が気になる人は、ぜひ継続しやすい有酸素運動を選んで続けてみてください。