人生最大の買い物に備える!大きなお金に慣れるためのトレーニング法

お金がもっと欲しいと思って取った行動が、実は、お金を遠ざける結果になっているかもしれません。NG行動に気づき、 “発想"を少し切り替えることで「お金持ち体質」が手に入ります。泉正人の最新刊『お父さんの「こづかい」は減らすな』より特別編集編をお届けします。
2018.7.26(2020.11.20更新)

お財布に入ってる金額はいくらですか?

皆さんは普段、お財布にどれくらいのお金を入れているでしょうか。人によって違いはあれど、少なくて数千円、多くても3万円程度いう人が多いのではないかと思います。
特に昨今はクレジットカードや電子マネーによるキャッシュレス化が進んでいますから、現金は必要最低限の金額しか持ち歩かない人もめずらしくなく、日常生活で困ることはありません。
しかし、お財布に入っている現金が少ないと、落とした時の心配は少ないのですが、弊害もあります。それは、いつも少額のお金しか扱わないので、大きな金額のお金に慣れることができず、実際に大きな金額の買い物のとき、大切な判断をするべきときに間違ってしまうということです。

キャベツとマンションの適正価格を判断できますか?

わたしたちは週に何度もスーパーに行っていて、いつも1玉200円で売っているキャベツが300円な日があれば、他の野菜のメニューを考えるというように、小さな買い物では冷静に判断しながら生活しています。

でも、人生では大きな買い物をする場合もあります。たとえば、家のリフォーム代金でフローリングの工事に50万円かかるとなったとき、その金額が適正化どうか判断できる人はどれだけいるのでしょうか。さらには、マンション購入で3,000万などとなったらなおさらです。

大きなお金を扱ったことがないと、50万円も100万円も1,000万円も、どれも「使ったことのない金額」で「未知の領域」であるため、価格(プライス)と価値(バリュー)が釣り合っているかどうかよくわからなくなり、思考が停止。
よくわからないので、気が大きくなったり、その場の営業トークや雰囲気に流されて非合理的に決断してしまうというわけです。

大きなお金に慣れるトレーニング法

大きな買い物でも小さな買い物でも、大切にお金を使うべきであることに違いはありません。ですから、いつか来るであろう大きな額の判断の時に備えて、大きなお金に慣れておくトレーニングが必要です。
そのトレーニングとはお財布にいつも50万円を入れて持ち歩くこと。わたしも実際にやっていましたが、「この財布を落としたら1カ月くらい落ち込む」くらいの自分にとって大金を入れておくのがポイントです。

50万円も入っていれば落としたり盗まれたりしないよう、財布を入れたカバンが気になってしまいますし、目が合った人がみんな泥棒に思えるくらいの緊張感があります。でも、1週間、2週間と経つうちに気にならなくなり、1カ月もすれば、大金を持っていることが当たり前の状況になるでしょう。

それに慣れると数十万円、数百万円のものを買おうと検討する時に、必要以上に舞い上がったり、気が大きくなってムダ遣いをしたりということがなくなります。それは「50万円ならこれくらいの価値がある」という肌感覚が身についた証拠。これは私自身が実証済みで、スーパーでどのキャベツを買うか考える時のように、大きな買い物でもその価値と価格を正しく見極めて冷静に判断できるようになります。

これを数カ月間から数年間続けて大金を扱う感覚に慣れたら、トレーニングはやめてしまっても構いません。語学や自動車の運転と一緒で、一度身につけばその後も体に残るからです。トレーニングを始めるなら、早ければ早いほうがいいでしょう。

若いうちに感覚を養っておけば、これから長い人生を送るうえで大きなお金で失敗するリスクを減らせるからです。ところで……、実践はあくまでも自己責任でお願いします。無駄遣いのための大金ではないのでご注意を。

泉 正人

ファイナンシャルアカデミーグループ代表、一般社団法人金融学習協会理事長

日本初の商標登録サイトを立ち上げた後、自らの経験から金融経済教育の必要性を感じ、2002年にファイナンシャルアカデミーを創立、代表に就任。身近な生活のお金から、会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを構築。東京・大阪・ニューヨークの3つの学校運営を行い、「お金の教養」を伝えることを通じ、より多くの人に真に豊かでゆとりのある人生を送ってもらうための金融経済教育の定着をめざしている。『お金の教養』(大和書房)、『仕組み仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、著書は30冊累計130万部を超え、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。一般社団法人金融学習協会理事長。

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