あれから11年あまりを経て、その文章を改めて紹介したいと思います。
【以下、『株式市場「強者」の論理』218~220ページより転載】
あと20年以内に大きな上昇トレンドを2回経験できれば、資産を数十倍にできるチャンスは十分あります。それまでは、焦らず、少しずつ増やしていくことなど、心の余裕が求められます。仮に次のようなトレンドをシミュレーションしてみましょう。
2007年~2013年(7年間) ボックストレンドまたは下降トレンド
2014年~2016年(3年間) 上昇トレンド
2017年~2023年(7年間) ボックストレンドまたは下降トレンド
2024年~2026年(3年間) 上昇トレンド
ボックストレンドまたは下降トレンドでは、できるだけ安全な投資を心がけなければなりません。具体的には年率10%の利益で満足しなければなりません。それでも年率10%の複利で増やしていけば、7年目の2013年に資金は約2倍(1.95倍)になります。
そして、2014年から始まる上昇トレンドにおいて年率50%で複利で増やしていくとしましょう。10年目の2016年には元本の6.58倍にまで増えている計算になります。さらに、この仮定で計算を進めると、2007年から2026年までの20年間で投資資金は43.3倍に膨らみます。
よりリスクを軽減し、安定的なリターンを求めるのであれば、ボックストレンドまたは下降トレンドでは株式の代わりに外貨や外債で5%程度の利回りを目安に運用し、上昇トレンドのときだけ株式で30%のパフォーマンスを目安に運用するという方法もあります。なるべくリスクを避けたいという投資家向けの方法です。
このシミュレーションは決して楽観的なシミュレーションではありません。過去のトレンドなども加味して中立的な立場で想定したものです。1年、2年といった短期間で数十倍に資産を増やそうとせずとも、長期的・継続的に資産を増やすことができれば十倍、数十倍という目標も夢ではないでしょう。
【以上、転載終わり】
景気の変動
この本が出版された2007年6月当時は、経済メディアでは「過去数十年で世界経済が最も好調な時期」と囃され、株式市場では「株価はあと数年上がり続けるだろう」といわれていました。しかし実際には、2007年8月にパリバ・ショック、2008年9月にリーマン・ショックが起こってしまいました。
それではなぜ、私は2007年~2013年(7年間)をボックストレンドまたは下降トレンドと設定することができたのでしょうか。それは、『株式市場「強者」の論理』の前の2冊の著書のなかでも触れていたように、2007年頃には米国の住宅バブルが崩壊することやその後の金融危機を予見していたからです。
さて、転載した文章から11年あまり経っていますが、それから試行錯誤を繰り返して学んだ結果、少なくとも過去5年間の私は、転載した文章から多少アレンジした投資スタンスを提唱し続けています。次回の記事では、そのスタンスについて紹介したいと思います。
なお、私のブログ『経済を読む』においては、大事な局面では株価の流れを分析していることもありますので、ぜひ参考にしてみてください。