「いつかは住みたい」アメリカ・サンフランシスコでの生活費

いつかは住みたい世界の街の生活費
アメリカ西海岸の港湾都市として有名なサンフランシスコ。半島に連なる摩天楼、オーシャンビューの高級住宅街、人でにぎわうフィッシャーマンズワーフなど、海と都市が融合した明るい街並みは多くの人に愛されています。
2018.9.11
季節による温度変化が少なく、穏やかな気候で過ごしやすいことも人気のひとつ。シリコンバレーを中心に世界的なIT企業の本社が集まり、カリフォルニア州屈指の経済都市としても知られています。そんな世界的に有名な街に移住してみたいと思う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、将来的にサンフランシスコへ移住したいという方のために、移住にかかる費用を試算し、1カ月あたりの生活費を項目ごとにご紹介します。

サンフランシスコの住宅費は全米一高い! ルームシェアが手ごろに住むためのカギ

サンフランシスコは、全米で最も家賃が高い場所として知られています。
2018年8月現在の全米家賃ランキング(Zumper社調べ)によると、1位のサンフランシスコは、1ベッドルーム(リビング+寝室1つ。日本でいうところの1LDKにあたる)の平均家賃が月々3,500ドル。2ベッドルーム(2LDK)だと4,730ドルにもなります。1ドル111円だとすると、1LDKが月々38万8500円、2LDKが月々52万5,030円にもなります。しかも、この平均家賃は2009年頃から毎年上がり続けているというのです。
こんな高い家賃を払って、暮らしていける人なんているのでしょうか。
そう思い、調べを進めてみると、サンフランシスコでは4人家族で年収11万7,400ドル(約1,300万円)の家庭は「低所得層」に分類されるというのです。さらに年収7万3,300ドル(約810万円)の場合は「非常に低い所得」に分類されるのだとか。日本人の平均年収が約420万円(平成28年度)なので、平均的な日本人家庭は、超低所得層に分類されてしまうことになります。日本の企業がサンフランシスコ支社に人材を派遣する場合、年間約500万円の海外手当を出すところもあると聞きましたが、それでも足りないぐらいなのかもしれません。シリコンバレーに本社をかまえるGoogleやAppleなど世界的IT企業の社員なら、1ベッドルームで約39万円という高額な家賃を払い続けられるのでしょうか。

しかし、これは統計上の話。実際の賃貸情報を見れば、リーズナブルな物件もあるはず……と、サンフランシスコ総合コミュニティサイト「びびなび」(https://sanfrancisco.vivinavi.com/)の不動産情報を見てみました。
しかし、住所が「サンフランシスコ」となっている住宅は、やはり1ベッドルームで月々3,000ドルぐらいしてしまいます。最も安いアパート(1DK)で月々2,500ドル。がんばって探せば掘り出し物もあるかもしれませんが、やはり相当な家賃を覚悟していかなければならなさそうです。

身軽な単身で人との共同生活も気にならないという場合は、ルームシェアが割安です。3ベッドルームの一軒家を3~4人でシェアして月々800ドル(約9万円)から、バスルーム付きの個室(キッチンなどは共用)で月々1,300ドル(約14万円)から……など一気に手が届きそうな家賃が見えてきました。しかも、基本的な家具、水道・ガス・電気・Wi-Fiなどは家賃に含まれていることが多いようです。ただし、個室ではなく、リビングに間借りするタイプのシェアもあるので、条件等はよく調べて応募する必要がありそうです。
したがって、サンフランシスコでの住宅費は、ルームシェアで約9万円~。1LDKを借りると月々約40万円を覚悟しなくてはならないことがわかりました。かなりハードルが高いので企業の駐在員になるなど住宅手当や海外手当をもらえる環境を整えて行った方がよさそうですね。

食費も少しお高め。手に入らない食材はなさそうだけど……

サンフランシスコといえば、シーフード。港が見えるレストランで新鮮な海鮮料理をいただいたり、気軽な屋台で名物のクラムチャウダーをいただいたりと、シーフードグルメには事欠きません。幅広い人種が住むため、中華、イタリアン、エスニック、日本料理などの世界各国の料理店が豊富に立ち並びます。
問題はお値段……ですが、外で和食を食べたい場合は、やはり日本の1.5~2倍はかかります。例えば、一風堂サンフランシスコ店の場合……辛タンタンメン18ドル、ポークバンズ4.5ドル、スーパードライ8ドルなど。居酒屋「Gochi」では、かけうどん、ざるうどんがそれぞれ9ドル。煮込みハンバーグ定食13.4ドル、刺身定食21.5ドル、牛丼12.5ドルなど。枝豆4.5ドル、ポテトサラダ4.5ドル、刺身盛り合わせ25ドル、鶏唐揚げ5.6ドル、ふろふき大根6.5ドル、野菜炒め8.5ドル、梅おにぎり7ドルなど日本の居酒屋メニューも食べられて、駐在員などには人気が高そうです。
そして、日本でおなじみ「やよい軒」もサンフランシスコ近郊にありました。パロアルトという高級住宅街にある店舗ですが、なす味噌とサバの塩焼き定食23ドル、からあげ定食17.4ドル、生姜焼き定食19ドル、とんかつ定食19.5ドルなど。日本の「やよい軒」ではいずれも1,000円しないメニューですので、やはり2倍程度は覚悟しておいた方がよさそうです。
次に、自炊する場合を考えて、現地のスーパーマーケット情報をチェック。スーパーマーケットチェーン「Lunardi’s」の土曜特売のチラシを見てみると……
アボガド(4個)5ドル、ブロッコリー(1株)1.69ドル、ロメインレタス(2玉)6ドル、骨付き七面鳥(1ポンド=約450g)5.99ドル、豚肉のスペアリブ(1ポンド=約450g)2.99ドル、イングリッシュマフィン(6個パック)2.99ドル、冷凍ピザ4.49ドル、シリアル(3箱)6ドル、ワイン(1本)10.99ドル~、ミニッツメイドのオレンジジュース2.79ドルなど、思ったより高くありません。東京都心のスーパーマーケットと大差ないのではないでしょうか。
このスーパー、生鮮食品のクオリティの高さに定評があり、デリのスープや惣菜も美味しいグルメスーパーだということですが……お惣菜(1ポンド=約450g)6.99ドル、海老の天ぷら(1個)1.29ドル、カニフライ(1個)3.99ドル、スモークサーモン(1ポンド=約450g)16.99ドルと、お惣菜のお値段も日本のデパ地下や駅ナカと同じか、それ以下のように思います。
日系のスーパーマーケットも充実し、白菜やネギ、しょうゆ・味噌などもいつでも手に入るようです。自炊すれば食費は、日本に住むのと同じぐらいか少し高い程度で何とかなるかもしれません。
自炊の費用が日本と変わらない程度(※)だと考え、仮に単身家庭で約2万6,000円と試算し、これに週2回の和食ランチ(約30ドル×4)、週1回のディナー(アバウトに約50ドル×4)を加えた、約6万円程度が、サンフランシスコの1人暮らしで1カ月にかかる食費なのではないでしょうか。
…もっとも、短期移住の場合、エンターテインメントとしての食も大事ですから、その場合外食が増え、食費が跳ね上がることも予想できますね。
※日本の単身世帯の食費の月平均は約4万円(総務省統計局 平成27年家計調査報告より)で、外食費や酒代を除くと約2万6,000円。

交通手段は充実!

サンフランシスコの交通には、MUNI(ミュ二)と呼ばれるバスや路面電車、地下鉄、ケーブルカーなどがあり、路線もかなり充実しています。大人の運賃は、バスと路面電車のSingle Ride(片道切符/現金の場合)で2.75ドル(約300円)。90分以内なら乗換もできます。ケーブルカーは片道7ドル(約800円)。そして、バス・電車・ケーブルカーを1カ月乗り放題できるマンスリーパスが75ドル(約8,300円/2018年9月から78ドルに値上げ)です。毎日交通機関を利用する方は、このマンスリーパスがお得のようです。ちなみにこのマンスリーパス、所得が2万4280ドル(約27万円)以下の低所得者(1人世帯/住民限定)の場合、半額で利用できるというので、該当者は申請したほうがよさそうですね。
タクシーで移動する場合、初乗り運賃(5分の1マイル=約300m)が3.5ドル(約390円)、その後約300m走るごとに0.55ドル(約60円)。ちょっとした移動にはタクシーもよさそうです。
他にも、カーシェアや自転車のシェアも充実。ベイエリアを自由に駆け巡りたい方は利用してみるのもいいですね。

公立義務教育の費用は0。しかし…

カリフォルニア州では、幼稚園から12年生(高校3年生)までが義務教育で、この段階の公立学校の学費は、全て税金でまかなわれ、無料です。
大変嬉しい制度ですが、学校は自由に選べず、学区やその他の条件を加味して決められます。このため、子供の教育のことを考えて教育水準の高い学区に引っ越す親もいるようです。そうなると、引っ越し費用や、そのエリアの家賃が大きな負担に。
また、私立学校や日本人学校(日本語補習校)に通わせる場合は、費用がかかります。例えば、日本語補習校の1カ月の学費は、155~217ドル。月々約1万7,000円~2万4,000円ほどかかります。日本語補習校といっても、日本の教育制度にのっとった全日制の学校で、朝8時35分に登校、1日4時間から5時間の授業があるので決して高くはありませんが。私立の学費は年間5,000ドル~1万ドル前後ですので、これを12で割ると、月々の費用は約5~10万円と言えるでしょう。
以上を総合すると、サンフランシスコで暮らすために必要な生活費(※教育費は省く)は、ルームシェアを利用した場合、1カ月あたり約16万円~。1LDKを1人で借りた場合、約46万円~という試算になりました。
住宅費を抑えることがサンフランシスコでリーズナブルに暮らすためのカギとなりそうです。ただ、アメリカは安全をお金で買うというお国柄ですから、くれぐれも家賃に惹かれて危険なエリアに住むことのないよう、気を付けて物件選びをしてくださいね。

森野くま

一応、帰国子女。生活したことがあるのはインドネシアのジャカルタ(約2年半)、アメリカ・ニューヨーク(4か月)、ロンドン(1か月)。方向音痴なのに海外でよく道を聞かれます。

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