デザイン思考とは?今知っておくべきスタンフォード式マインドセット

キャリア
顧客が求めているサービスとは何なのか知りたい。あるいは、新商品のいいアイデアを見つけたい。どんな職業・職種でも、真のニーズや問題を適切に見つけ出し、解決に導く方法を知っておくことは大事であるといえるでしょう。 ジャスパー・ウ著『実践スタンフォード式デザイン思考』 より、これからの時代を生き抜くために必要なデザイン思考という考え方をご紹介します。
2019.10.30

デザイン思考で予測不能な社会を生き抜く

デザイン思考は、人々がもつ本当の問題を解決するための考え方(マインドセット)です。本書の読者であるあなたが学生でも教員でも公務員でもIT企業の社員でも。どんな立場の人でもデザイン思考が役に立ちます。

3〜4ページより引用
スタンフォード大学による「d.school」で、デザイン思考を学んだ著者。ワークショップファシリテーターとしてキャリアをスタートし、デザインワークショップやトレーニングを行なっています。
日本では、デザインのことをグラフィックデザインやビジュアルデザインのように、「外観をよくする、美しく整える」といった捉え方をしています。もしくは、単純にスケッチを描いたりするようなイメージもあります。
本著には、問題解決の方法としての「デザイン思考」が紹介されています。デザイン思考とは、言い換えれば、「問題解決する方法を設計(デザイン)するための考え方」ともいえるでしょう。
日本は高齢化が進み、働き手としての外国人が今、大勢日本に入ってきています。これまでにない規模で多様性が進む社会にあって、言語、世代、文化といったあらゆる方面からの問題が発生しています。これまでの考え方や解決方法だけでは、立ちいかなくなる状況がすでにあるといえるでしょう。
予測不能の社会を生き抜いていくために、デザイン思考という考え方を知っておきたいものです。

デザイン思考には、5つのプロセスがある

デザイン思考を学ぶとは、自身のマインドセット(考え方)を変えるということです。そのためには、デザイン思考を継続的に使い続け、自分自身で身に付ける必要があります。

27ページより引用
デザイン思考には、5つのプロセスがあるのだと著者はいいます。
①共感
②定義
③アイデア
④プロトタイプ
⑤テスト
この5つを繰り返しながら、一直線ではなく行きつ戻りつして、問題解決に向かって進んでいく。これは基本的なデザイン思考の例であって、各プロジェクトに合わせながら、アレンジして使うのだといいます。
デザイン思考を身に付けるための方法は、意外に単純。とにかく、継続してトレーニングすること。実践と練習を繰り返していくことが大事なようです。
そして、5つのプロセスのうち、最初の「共感」とは、普段私たちが使う共感の意味合いとは少し違っています。
デザイン思考とは、人々の不便や不満の中から問題を見つけ出して、アイデアを展開していくことが基本的なスタイル。その問題を見つけるために、情報を集めていくプロセスを「共感」と呼ぶのだとか。
ユーザーを観察して自分も体験し、その後ユーザーに直接聞いてみる。「共感」という作業だけを見ても、多くの仕事が抱える問題解決のための大事な入り口であることがわかります。

良いインタビューに解決の糸口がある

デザイン思考の5つのプロセスを経ていく上で、人々へのインタビューが大事な鍵になってくるようです。
結果次第では、ポイントとなる問題が見つかりにくかったり、逆に問題だらけになってしまうことも考えられます。自分たちが解く問題は「これ」と1つに絞るためにも、正しいインタビューの仕方が重要です。
本著には、良いインタビューをするために、いくつかのポイントが挙げられています。たとえば、インタビュー中に話し手が答えに詰まったとしても、答えを提案して助けてはいけないのだといいます。自分の期待通りのことを言わせるのではなく、話し手から出る言葉を待つ必要があるのだとか。
さらに、沈黙を恐れないといったことも挙げられています。むしろ、沈黙の時間があることで、話し手は自分の中で反芻し、深い意見を出してくれることに繋がるのだというのです。
逆に、深掘りしていくために、「なぜなのでしょう?」と、聞いていくことは効果的であることは理解できるところです。管理職が部下の話を聞くときなどにも、応用できそうです。
どんな仕事であっても、人々の声に耳を傾けて問題を見つけ出し、解決に導く姿勢は重要です。デザイン思考を身につけて、問題解決の正しいマインドセットを知っておきたいものです。
タイトル: 実践スタンフォード式デザイン思考
著者: ジャスパー・ウ
発行: インプレス
定価: 1,600円(税抜)

ナカセコエミコ

(株)FILAGE(フィラージュ)代表。書評家/絵本作家/ブックコーディネーター (図書館司書・産業心理カウンセラー・キャリアカウンセラー)。女性のキャリア・ライフスタイルを中心とした書評と絵本の執筆、選書を行っている。「働く女性のための選書サービス」“季節の本屋さん”を運営中。

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