2019.8.1
先進国で「最も寝ていない国民」は日本人
睡眠は、食事、運動とともに「健康の三大要素」と言われる大事なものです。しかし、日本人は先進国で最も「寝ていない」国民だという、喜べない調査結果があります。
経済協力開発機構(OECD)が実施する統計調査「Gender Data Portal 2019」によれば、1日のうちに睡眠に費やす時間は日本は442分(7時間22分)で、OECD加盟国に中国、インド、南アフリカを加えた31カ国中最短という結果でした。OECDの調査で日本と毎年最下位争いを繰りひろげる韓国は471分で、中国は542分、アメリカは528分、英国は508分、フランスは513分でした。
途上国は「勤め人」よりも農業、牧畜、水産業に従事する人の比率のほうが大きく、戦乱や自然災害に巻き込まれない限り早寝早起きで先進国よりも睡眠時間が長いので、「日本人は世界一、寝ていない国民だ」と言っても差し支えないでしょう。
日本人は「眠らない」のか「眠れない」のかはこの統計ではわかりませんが、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(2017年)によると、1日の平均睡眠時間は40代が最も短く、男女の約半数が「6時間未満」と回答しています。OECD調査の442分どころか360分未満です。40代は「睡眠で休養があまり取れていない」「全く取れていない」と回答した割合も30.9%で、「働き盛りの日本人は眠りたくても眠れない」のが実態のようです。
日本は職場に通勤する人の比率が高い「勤め人大国」で、眠れない理由について厚生労働省は労働時間の長さ、通勤時間の長さを挙げていますが、今後、働き方改革で労働時間が抑えられたとしても、通勤時間のほうは引っ越しでもしない限り、改善されません。
ICTで寝不足の日本人を救うスリープテック
睡眠の「量」が確保できず眠れない日本人ですが、日本はハイテク先進国ですから、ICT(情報通信技術)を活用しながらせめて「いい眠り」について、睡眠の「質」で量をカバーできないものかと考えました。
それが「スリープテック(Sleeptech)」です。
ニューロスペース(本社・東京)は、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)も活用した「睡眠解析プラットフォーム」で多くの人の睡眠データを解析し、それをもとに睡眠改善のためのシステムを開発し、改善プログラムを提供しているスリープテック企業の代表格です。その技術力を評価して三井物産、ANA、KDDI、吉野家ホールディングス、東京電力などの大手企業がプログラムを採用したり、同社と提携しています。
最近では日野自動車がトラックの運行管理者、ドライバー向け講習で採用したり、介護施設も運営する損保大手のSOMPOホールディングスから出資を受けてシニアの睡眠の研究、シニア向け睡眠サービス提供の共同事業を立ち上げたりしています。