2017.7.6
爪をキャンバスに見立て、細い筆で絵や模様を描くネイルアートは、一時のブームから女性たちの身だしなみ、女性ならではの楽しみとして定着化する昨今。街中にはネイルサロンが溢れ、ネイリストたちは色とりどりのデザインと独自の手法を駆使してしのぎを削っている。そんなネイルアートの世界で、圧倒的な存在感を放つ人物が、Hana4さんである。精緻な極細のラインで描かれた作品は、まさに「爪先の芸術」と呼ぶにふさわしい。今回は今をときめくネイルアーティスト、Hana4さんの人柄に迫る。
米粒に絵を描く――。幼い頃の特技が天職に結び付いた
STAGE編集部:現在の仕事につくまでのキャリアを教えてください。
幼い頃からファッションが大好きで、大学を出てからはファッションブランドのプレスをしたり、出版社でエディターのアシスタントをしたりしていました。ネイルアーティストになろうと思ったきっかけは、父の影響が少なくありません。私がいろいろな仕事をして、まだこれといった道を決めていなかった頃、父が病気で倒れて入院してしまったんです。それから父はお見舞いへ行くたび、いつも私に「とにかく手に職をつけなさい」と言うんですね。父からのアドバイスでネイルの仕事に興味を持ち、父が他界してからネイルスクールへ通いました。
STAGE編集部:昔から絵が得意だったんですか?
幼い頃から絵を描くのが好きでした。特に得意なのが細かい絵を描くこと。小学生の頃、父が旅行のお土産に、米粒に絵が描かれたお守りをくれたんですよ。『こんな小さいものに絵が描けるなんて!』と感動して、自分でも試しにやってみたところ、意外なほどうまくできてしまい(笑)。父もびっくりしていました。もしかしたら、これが私のネイルアートの原点なのかもしれません。
STAGE編集部:Hana4さんの代名詞である極細のラインは天賦の才というわけですね。では、独特のオリエンタルな色彩のインスピレーションは?
両親がアパレル関係の仕事をしていたこともあり、自宅には世界中のたくさんのテキスタイルがありました。そんな環境で育ったせいか、織物の色や模様が大好きなんです。大学も芸術学科で、織物と染色を学びました。海外旅行もインスピレーションの源。その国の織物の模様や色には必ず意味があって、土地の風土や文化と結びついています。気になる模様のものがあれば、買ってきて部屋に飾ることも。
STAGE編集部:ネイルアートにテーマはありますか?
誰かの爪に描く場合は、その人の人生のテーマを大切にします。私はネイルを通じて、テーマを持って生きることの大切さを伝えたいんです。どんなものでもいいから、誰のものでもない、自分だけのテーマを。会話をして、その人の唯一無二のテーマを感じ、イメージを爪に表現するというのが私のやり方です。指は毎日目にするものだから、爪を見れば、生きるテーマを再確認できるはず。作品としてチップに描く場合は、自分のテーマを表現しています。
STAGE編集部:ずばりご自身のテーマとは?
そのときどきで変わることもありますが、一貫しているのは「ネイルアートの魅力を世界中に広めること」。繊細な線や独特の色使い、私の持てる技術や思いを作品に注ぎ込みます。私の作品を観てくれた人が、「ネイルアートってなんて素晴らしいんだ!」と興味を持ってくれたらうれしいですね。