高齢化社会を幸せに生き抜くヒントは「ライフ シフト」にあり!

カルチャー
本のタイトルは『LIFE SHIFT~100年時代の人生戦略~』です。全世界で大ヒットし、日本でも2013年ビジネス書大賞を受賞した『WORK SHIFT』の著者、リンダ・グラットン氏の新著という触れ込みで、こちらもベストセラーに。そのテーマは「日本人は、人生100年時代をどう生きるべきか?」というものです。
2018.7.14
ご存知の通り、現在日本は世界に類を見ない速度で少子高齢化が進み、社会保障制度の崩壊や自治体の破たんなど様々な「負の予測」を耳にする機会が多いと思いますが、この本はそれとは一線を画し高齢化をポジティブにとらえる新たな考え方、現在の成長至上の次に来る新たな生き方を提示しています。
「若い」「老いている」の概念が変わり、「就職」や「引退」の常識が変わりつつあるという彼女の主張は、まさに目からうろこの連続。年金や人口減少の問題を和らげるためのアイデアやヒントが散りばめられていました。それでは、その中身を見ていきましょう。

新たなデータが示す「高齢化は幸せ」説!?

世界の人口学者たちがいまの子供たちの平均寿命を推計したところ、なんと日本で2007年に生まれた子供の50%は107歳まで生きるという結果が得られたそうです。この数字は日本が世界で一番の長寿国であることも示していたそうですが、本当に驚くべき数字です。
そのデータとは、単に人が長生きするようになっただけでなく、「健康に生きる期間が延びている」事を指し示すデータです。つまり、これまでは「寿命が延びる」とは老いて生きる期間が長くなることだと思われていましたが、その常識は変わり若々しく生きる期間が延びているというのです。
この“若々しく生きる期間”をどうとらえ、どう生きるのか?その発想の転換こそ「ライフ シフト」。高齢化社会で幸せに生きる秘訣なのです。

人生に「新たなステージ」が現れる!

従来の日本人の人生は大きく「教育を受ける→仕事をする→引退して余生を過ごす」という3つのステージに分かれていましたが、“若々しく生きる期間”の増加により「新たなステージ」が選択可能になります。とりわけ著者は「エクスプローラー」「インディペンデント・プロデューサー」「ポートフォリオ・ワーカー」という3種類のステージに注目。
「エクスプローラー」…探検者を意味し、一カ所に腰を落ち着けるのではなく身軽で機敏に旅をしたり、様々な文化や価値観に触れたりするステージ。自分の存在の境界を押し広げ、固定観念から脱却してほかの人たちの行動をじっくり見る審美眼を身に付けることができる期間でもあります。
「インディペンデント・プロデューサー」…旧来の起業家とは異なる新しいタイプの起業家。永続的な企業を作ったり、売却したりすることを目的にするのではなく、組織に雇われずに独立した立場で生産活動をすることを重要視しています。その活動の中身は製品を作ったりサービスを提供したりと様々ですが、資産を大きく増やす可能性が低い代わりに失敗を恐れずチャレンジできるメリットがあります。小規模ながら、ビジネスのスキルや知識などを身に付けるのに最適なステージです。
「ポートフォリオ・ワーカー」…一種類の活動や仕事に専念するのではなく、様々な活動に同時並行で取り組むステージ。最近では副業を許可する企業も増えていますし、その注目度の上昇を体感している人もいるのではないでしょうか。

「エイジ=ステージ」ではなくなる!

人生において上記のようなマルチステージを選択することが普通になり、その順序が多様化すれば、「エイジ」と「ステージ」はイコールではなくなります。つまり、従来の価値観では「学習するのは10~20代」、「働くのは20代~60代」などの固定観念がありましたが、その感覚も次第に無くなっていくというのです。
このような時代を生き抜くためには、これまで若者の特徴とされていた自由に道を選ぶ性質を生涯通して持ち続けることが必要になります。「自分は若くないし、あまり関係ない」という人も、今の若い世代の価値観が変化しつつあることを理解しておくと良いでしょう。

「目に見えない資産」がより重要に!

若々しく働く期間が長くなれば貯蓄の重要性もより高まると考えるのは自然ですが、著者はお金以上に「目に見えない資産=無形の資産」が存在感を増すと考えています。中でも、仕事のスキルや知識を中心とした能力の資産(生産性資産)、肉体や精神の健康の資産(活力資産)、そして多様性に富んだ人的ネットワークを持つことや多様性を受け入れる姿勢(変身資産)。
この3カテゴリーの「目に見えない資産」が、マルチステージの人生ではより大切になるのだそうです。
「100年時代の人生戦略」とは、お金偏重の価値観からどれだけ脱却できるか。そのためにどれだけ柔軟に行動できるかにかかっているのだと、この本を読んで実感することができました。