経営者になる前に実践されていた方法などはありますか?
吉越:結局、自分でどんどん仕事していくことだと思います。誰かが仕事を教えてくれるということはありえませんから。
社長相手の講演もよくあるんですが、そこで「この中で、手を取り、足を取り、先輩から仕事のやり方を教えてもらって、社長になった方いらっしゃいますか?」と聞くと「何言ってんだ、このバカっ」ていう顔をされるわけですよ(笑)。つまり、誰一人として社長になるための教育、仕事をできるビジネスマンになるための教育なんて受けてこなかったと言うことです。
社長相手の講演もよくあるんですが、そこで「この中で、手を取り、足を取り、先輩から仕事のやり方を教えてもらって、社長になった方いらっしゃいますか?」と聞くと「何言ってんだ、このバカっ」ていう顔をされるわけですよ(笑)。つまり、誰一人として社長になるための教育、仕事をできるビジネスマンになるための教育なんて受けてこなかったと言うことです。
教育なんてできるものではない、というのが私の考えです。それぞれの部門にマニュアルがあり、そのマニュアルを見ればどういった仕事をすればいいか書いてあるでしょう。でも、総合職にやって欲しい本当の仕事は、そんなことではなく、いわゆるマニュアルに書いてない重要なことなんですね。
総合職がすべき仕事というのは、「自分で頑張ってやる」以外にないわけです。ですから、私はよく「デッドラインをつけなさい」、「残業をするな」と述べてきました。そうすると、今日やらなくてはいけない仕事が明確になります。
総合職がすべき仕事というのは、「自分で頑張ってやる」以外にないわけです。ですから、私はよく「デッドラインをつけなさい」、「残業をするな」と述べてきました。そうすると、今日やらなくてはいけない仕事が明確になります。
明確になった仕事は全部その時間内に終わらせる。そういった場に自分をどんどん置いていくことが必要だと思います。さもないと、人間というのは、安易に流されてしまうものですよね。「今日じゃなくてもいいか」、「明日やりゃいいや」。一端こう考え出すと、どんどん安易な発想に慣れていってしまいます。そうならないためには、自分で自分を追い込んでやっていく。つまり、自分で自分を律するしかないわけです。
(本記事は、2007年12月10日にファイナンシャルマガジンに掲載されたものを再掲載しています)
(本記事は、2007年12月10日にファイナンシャルマガジンに掲載されたものを再掲載しています)
家庭も、経営も、社会も、長期の時間軸で考える 〜効率だけを追求しない、渋澤健の人生論(渋澤 健)
渋沢栄一さんという資本主義を日本に持ってきた方から5代目にあたる渋澤健さん。「論語と算盤」をテーマに経営塾を開催するほか、ご自身でも日本に長期投資を根付かせようと……
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吉越事務所代表、トリンプ・インターナショナル・ジャパン元社長 吉越 浩一郎さん
1947年千葉県生まれ。ドイツ・ハイデルベルク大学留学後、72年に上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業。極東ドイツ農産物振興会、メリタジャパン、メリタ香港の勤務を経て83年にトリンプ・インターナショナル(香港)に入社、リージョナル・マーケティングマネージャーを最後に86年よりトリンプ・インターナショナル・ジャパン㈱に勤務。87年代表取締役副社長、92年に代表取締役社長に就任し、2006年に退任。同社は毎日開催される早朝会議での即断即決経営を武器に19年連続増収増益を達成。2004年には「平成の名経営者100人」(日本経済新聞社)の一人に選出された。2008年、第37回ベストドレッサー賞<政治・経済部門>を受賞。
現、吉越事務所代表。現在、東京と、夫人の故郷である南フランスの2か所を拠点にしつつ、国内各地で幅広く講演活動、執筆を行う。
著書に『「残業ゼロ」の仕事力』(日本能率協会マネジメントセンター)
『「社長の掟」』(PHP研究所)がある。