2017年8月2日 更新

あの人気焼き鳥店で頼みたい「原価率の高い」3つのメニュー

大人気の繁盛店には必ず理由があります。安さと味とボリュームを備えた鳥貴族がその一つです。では、なぜその鳥貴族は安さと味とボリュームを提供できるのでしょうか。それは、マーケティング手法の「マージンミックス」を使い顧客満足度を高めているからです。実生活から切り離せないマージンミックスを見ていきたいと思います。

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2017.7.17
先週末、子供とスーパーに買物に行ってきました。妻が食材を買っている間に子供とウロウロしていると魅惑の駄菓子コーナーに遭遇。あっ!と思いましたが時すでに遅しです。当然、お菓子を買いたいとせがまれました。「じゃあ100円まで選んで買って良いよ」と約束し、私はその場を少し離れました。時間が経って駄菓子コーナーに戻ってみると、片手には数点の単品の駄菓子が入った買い物カゴ、もう一方の手にはビニールに色々な駄菓子がミックスされた「おたのしみセット」で立ち尽くしていました。すごく真剣顔。どうした?と声をかけると「どっちが良いのかなぁ。おたのしみの方が数が多いから」と。
さて、この悩みの原因にもなった、実はマーケティング手法「マージンミックス戦略」が原因でした。

鳥貴族のメニュー戦略とは

先日、BSのある番組で鳥貴族が特集され大倉社長がインタビューに答えていました。鳥貴族はすでに有名なので説明は必要が無いかもしれませんが、メニューが280円均一でボリューム満点が特徴の上場企業です。
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さて、インタビューアーが、「なぜ鳥貴族はあそこまでボリュームがありながら全品280円と激安なのですか?ちゃんと儲けているのでしょうか?」と質問していました。「上場企業だから儲けてるに決まっているだろう!」1人で軽く画面にツッコミを入れながら聞いていると、大倉社長は、お客様に満足してもらいながらもちゃんと儲けが出るようになっていて、その仕組はというと、利益が大きいメニューと利益が少ないメニューがあり、それをバランスよく注文をもらうことで全体で利益を確保しているというものでした。これが、「マージンミックス」で、商品やサービスの価格を決定する際に、一つ一つの商品に対して原価率を定めるのではなく、全体の売上で原価が合うように設定する手法です。
鳥貴族のメニューの中には、皆さんにとって原価ぎりぎりもの、つまりお得に感じるメニューと、すごく原価が低い、でも魅力的なメニューが混在しているということです。お得感と魅力的をミックスする手法で、多くの人が全部食べ終わってその原価が一定になるように上手にメニューが魅力的に並べられているということです。

誰もが経験しているマージンミックス

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では、皆さんのまわりにマージンミックスを使っているケースを見てみましょう。有名なのは、ハンバーガーショップです。一般的に原価が高いのはハンバーガー類です。一方で原価が思い切り安いのはポテトです。ポテトの原価率は5%前後と言わています。恐るべき原価の安さです。さて、いつもはポテトの単価を高く設定しておき、いざセットになるとハンバーガとポテトとドリンクですごく安く感じる。割引額が大きく見ることでオトク感をだしながら、実は全体の原価を抑えるている手法です。
他に有名なのは宅配ピザです。雨の日〇〇%引き、週末は半額など色々なクーポンを見かけます。儲かっているのかぁ〜?と思う人も多いハズ。そのような心配をしつつ、ついサイドメニューでジュースを買っていませんか?そうです、その注文したサイドメニューでしっかりと平均の原価は下がっています。ということで儲かっています。そもそもですが、雨が降っている日にピザを注文する人の多くは外出したくない人です。その人が飲み物を買いにわざわざ外出する可能性は非常に低いのです。だからこそサイドメニューの炭酸系ジュースが定価でもつい注文してしまいます。ちなみに、この炭酸系ジュースもポテト並の原価の安さです。
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では、私の子供はどのようなマージンミックスに引っかかったのでしょうか。「おたのしみセット」の値段は100円でした。しかし、よくよく計算してみると単品で買うより10円程度割安でした。子供にとっては、量が多くてついオトクに感じてしまいます。でも、大人から見ると原価の安い組み合わせにより利益率は単品より高いのと分かってしまいます。
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渋谷 豊 渋谷 豊
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