なぜ富裕層はゴルフをするのか|情報収集でき人柄も見定められる?

ゴルフと言えば富裕層の趣味、と巷間では思われているフシがあります。確かに、紳士のスポーツとも言われ、比較的お金もかかりますし、汗だくになってプレーするものでもありませんね。それでも、富裕層にとってのゴルフとは、実益に適ったスポーツなのです。

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2019.9.3

そもそも富裕層とゴルフとは相性が良い?

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富裕層とゴルフとは、元来相性の良い組み合わせです。ゴルフとは、英国貴族が主導して世界に広まった歴史あるスポーツであり、海外でも富裕層に愛好されるスポーツと見られることが一般的です。実際に政財界関係者を始め、富裕層がゴルフを通じたコミュニケーションを好むことは確かですね。「グリーンミーティング」と称して、月1回など定期的に特定の仲間と集ってプレーをし、親睦を深め、情報交換の場として活用する富裕層も珍しくありません。
また、ゴルフ接待という言葉もお馴染みで、ビジネスパーソンとゴルフとは密接な関わりがあると言って良いでしょう。ビジネスパーソンとしてキャリアアップしたい方であれば、ゴルフをやっていて損になることはありません。むしろ、私の経験に照らしてみれば、ビジネスパーソンとして大成を望むならば、ゴルフを嗜むことが必須である、と言っても過言ではないほどです。 業界・企業文化により差はありますが、社内コミュニケーションとしても、対外接待としてもゴルフは非常に有効なツールであるためです。翻って、ゴルフをやらない方ですと、社内外との情報収集・ネットワーク作りにおいて不利になることは否めません。とりわけ、管理職に登用された後には、一層この傾向を顕著に感じます。ちなみに、私が初めてゴルフでラウンドしたのは大学時代でしたが、その後の総合商社勤務時代では、20代でもゴルフは嗜んでいて当然、という雰囲気でした。

富裕層にとってのゴルフとは経営にも似る?

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経営者も多い富裕層の視点で眺めれば、ゴルフのプレーは企業経営とも重なってくるようです。手持ちの条件・道具を活用して、いかに打数少なくホールを回るのかを考えながらプレーするゴルフと、自社の経営資源(ヒト・モノ・カネ)を活用して、いかに企業を生き残らせ、発展させるのかを考えながら次々に決断し、確実に実行に移して行くしてゆく企業経営とは、確かに共通のエッセンスを感じますね。
ボールを狙い通りの場所に運ぶための判断力・集中力、思い通りにゆかないプレーでも最後まで投げ出さない忍耐力、そして数時間かけて18ホール回りきるための基礎体力など、いずれも経営者として活用できる能力ばかりです。その上、どれほどゴルフの練習を重ねても、実際のラウンド上で、「このホールで、この状況下でベストの決断は?」というところまでは、どれほどの手練れ(てだれ)でもシュミュレーション不可能です。
都度効果的な決断・対応ができるようになるためには、とにかくラウンドに出る回数を増やし、実践で、生身で学んでゆく以外に策はないのですね。これは、企業経営でも全く同じことが言えるでしょう。「一緒にラウンドして、どんなプレーをするのかジックリ観察していると、相手の経営者としての仕事振りや人となりが判るよ。」かつて、このように語ってくれた上長がいましたが、全く以て同感です。

富裕層にとってのゴルフは相手の人となりを見定める場

富裕層とゴルフとの繋がりは強いものですが、ゴルフというスポーツは、レベルや性別・年齢の違いを超越して一緒にラウンドでき、生涯にわたって楽しめることが魅力です。その上、準備、プレー、終了後の食事などまで含めれば、ゴルフは同じメンバーで優に半日以上を共にするスポーツです。つまり、富裕層にとってのゴルフとは、一緒にプレーする相手の人となりを見定める絶好の場にもなり得る訳ですね。 私は総合商社勤務後にIT系ベンチャー企業の経営をお手伝いさせていただく立場になりましたが、やはり経営者の方々には少なからずゴルフのお誘いを受けてきました。ラウンドに出ると分かりますが、ゴルフのプレーには否が応でもその人の人間性が色濃く出てしまいます。5〜6時間かけて18ホールを一緒に回ることになりますから、無理して人となりを取り繕うことは相当に困難です。ビジネスの場では見られなかった、相手の意外な一面を覗けることもあります。
例えば、ラウンド中のマナーとして、スイングで削ってしまった土を戻しておいたり、相手のボールを一緒に探してあげたり、パッティングする相手のラインを踏まないように配慮したりなど様々あります。自らの状況に関係なく、これらのマナーに配慮して周囲に気を配れるのかで、人間性は自ずと見えきてしまいますね。さらには、フェアプレーの精神を持ち合わせているのか、ミスした時にどのようなリカバリーをするのか、ここぞというポイントでスピーディ、かつ的確な決断ができるのかなど、富裕層は一緒にラウンドする相手をチェックしています。
加えて、同じメンバーで長時間居合わせて会話をしていても尽きない知識・話題の引き出しがあるのか 、様々な立場・バックグラウンドを持つメンバーを盛り上げる雰囲気作りはできるのかなど、富裕層であるゴルフプレーヤーほど一緒にラウンドする相手をさり気なく観察していたりするのです。
Kenneth S

Kenneth S

総合商社のIT戦略担当からIT系ベンチャー企業の経営補佐などを経て、現在は海外在住の個人投資業。時折、物書きもしている。
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