買ったのは間違いだったと自分の敗北を認めるのはツラい作業ですが、「損切り」の見極めを素早く行うことで彼は230億円という途方もない資産を築くことができたといいます。さらに彼が凄いのは、買った株が下がり損切りした後、あざ笑うかのように上がり出した場合、その株を「上昇株」とみなして買うという判断を平気で行えるところ。
自分が売った値段よりも高い値段で再び株を買おうというのは、「損切り」も間違いだったと2重で認める事。心理的にはかなり抵抗がありますが、相場の潮目に沿って売買するという原則に従うことを優先しているのです。
投資の会社を作らない理由!
資産230億円もあるなら投資の会社を作ればいいと言われることもあるcisさん。実は過去に一度だけ、大学の友人5人を雇って会社を立ち上げたことがあるのだそうです。「自身が株の売買を教えれば、半分ぐらいは億を稼げるのでは?」と考えての会社設立。
そして自身の理論を詰め込んだプリントを作っては講義して、いざスタートを切ったところ…なんと、同じように教えたはずの5人は全く異なる売買をしたのです。2年間やってみた結果、5人のうち1人は1千万円以上のプラス収支だったものの他の人はほぼ全滅。彼らに月々35万円の給料を払っていた分、約4200万円そっくりマイナスという散々な結末を迎えたのでした。
お金が絡むと人は合理的な判断をすることが難しくなり、本能が勝ってしまう。一筋縄ではいかない難しさに気づいたそうです。
私自身、当面はデイトレードに挑戦することはないと思いますが、合理的でクレイジーな面を持つcisさんの話は非常に魅力的でした。「230億円持っている人はどんな人生を歩んでいるのか?」そんな興味本位で読んでも満足できる一冊だと思います。
『生き方』にこだわる経営の神様。稲盛和夫氏の名言を人生に役立てよう!
京セラの創業者で現在名誉会長を務める稲盛和夫氏による代表的な著書『生き方』。稲盛氏と言えば京セラ、KDDIを創業。会社更生法を申請するまでの経営不振に陥ったJALをドン底からわずか2年で営業利益2,000億円まで回復させた経営手腕はもはや伝説となっています。