4~6人単位のチームメンバーはまず個人が考えた優先順位と理由を発表し、次にチーム内で話し合って、チームとしての優先順位と理由を決定し発表します。NASAが出した模範解答があり、最後にそれと照合して点数をつけて、チーム別の順位が決まります。
チーム内での話し合いでは、相手を説得したり、異なる意見を集約して合意(コンセンサス)を導き出します。たいていの場合、個人の意思決定は、グループで話し合った合意よりも点数が低く、その結果を示して「個人の能力には限界がある」「話し合いは大事だ」と集団活動の重要性、個人プレーと組織プレーの違いに気づかせることも、狙いです。
メンバーは対話の重要性を実感し、問題解決能力、チーム内における意思決定能力、最後に合意形成までもっていける能力がトレーニングできます。設定が月面上の宇宙飛行士という極限状況なので、限られたアイテムを使っていかにピンチを打開すればいいかという、土壇場での発想力も鍛えられます。
お互いの「人間性」を知るのが目的のものも
「NASAゲーム」や、同様のサバイバルもののタイトル「砂漠からの脱出」「雪山での遭難」「船長の判断」にはその道のプロの模範解答がありますが、中には正解がないゲームもあります。「無人島の出来事」というタイトルで、無人島に漂着した男女関係も複雑な5人の登場人物の中で「最も許されざる者」を1人選ぶという無慈悲な側面があるゲームです。これは合意の結果ではなく、合意を形成する過程に焦点が置かれています。メンバーが話し合いながら、お互いの物の考え方や価値観の違いを理解できる。つまり「人間性」を引き出すことが目的のゲームです。
ビジネスゲーム、コンセンサスゲームは、企業が思考法のトレーニングや「コーチング」として社員研修に取り入れていますが、中には新卒採用、中途採用で集団面接ととともに実施する企業もあります。人間性があらわになるのが観察できると人事担当者は期待しているようですから、「なんだゲームか」と気をゆるめると、後悔するかもしれません。
生産性の高いチームワークとは? 仕事のチーム作りに必要なこと
仕事では、チームの結束力がその後の成果に大きく影響するといっても過言ではありません。一方で、チーム作りというのは一朝一夕にできるものでもないのが現実です。今回は、仕事の面でのチーム作りに必要なポイントに焦点を当てて考えていきます。