2019年4月17日 更新

大正〜昭和に活躍した杉浦非水の広告アートを楽しむ【アート研修】

アート研修の目的は、今ビジネスにおいても重要視されている「感性」を磨き表現能力を開発することです。感性が磨かれると人生は豊かに彩られるでしょう。今回は「広告美術を楽しむ」です。

2019.4.15
この作品で、作者が伝えたいことはなんでしょう?
「作者が伝えたいことはなんでしょう?下の3つから選びなさい」という国語の試験問題、よくありましたね。これ、本当にそうかなあ?と思っても、試験の解答に合わなければ成績が下がるし、親に怒られるし。一生懸命、作者の気持ちの“正解”を探した記憶があります。正確には出題者が決めた作者の気持ちですが・・・。
美術鑑賞にも、ついついそんな習性が。「正解を答えないといけないんじゃないか」という、身に付いてしまった不安が発露して、わたしにはこう感じられる、を思うまま言うことに腰が引けてしまう。結果、美術は難しい、苦手・・・わたし自身、これだけ美術と関わっていながら、いまだそんな時がありますし、思い当たる人、多いのでは?
そんなあなたに。
「作者が伝えたいこと」がとてもわかりやすい美術作品があります。広告、いわゆる「商業美術」。役割・目的ありきの分野です。

大正・昭和時代の三越広告画

こちらは、杉浦非水(1876-1965)による《銀座三越 四月十日開店》(1930年 東京国立近代美術館蔵)。
時代は19世紀末、元号でいえば4つ前(!)の明治時代から、彼は“図案家”として活躍していました。図案家とは、現代でいうグラフィックデザイナーですね。
この《銀座三越 四月十日開店》は、デパート、三越のポスター。銀座店オープンを知らしめる広告です。1930年ですから昭和5年、かれこれ90年近く前の作品です。
何が描かれているか見てみましょう。
時間は夕暮れから夜でしょうか。背景は、都会の明かりを映した空の濃い青。そこに映える「銀座三越」の看板の赤。建物は鋭角に強調された輪郭のこげ茶。道路をはさんだ前景に大きく描かれた4人。

杉浦非水が描き出すステータスと豊かさへの憧れ

gettyimages (36189)

色彩、構図・・・まずもう、画としてかっこいい。わたしなど、それだけで充分満足なのですが、これはポスター広告。商業的な役割から見てみると・・・
「4月10日」、「銀座4丁目の角」に「銀座三越」が開店するという情報は、画の一部に溶け込みながらしっかり告知。そして是非それ以外の部分をじっくり見てみてください。デパートから夕闇にあふれ出る明かりの豊かさ、行きかう人々の活気、交差点を走る高級そうな自動車(車体だけつややかで描き方が違いますね)や路面電車のヘッドライト、そして前方を歩く4人の、モダンな服装と、ちょっとすました、でもたのしげな表情(少年はお菓子でも買ってもらったのでしょうか。)
・・・ポスターを構成する要素のすべてからあふれる、大都会東京と、そこでの毎日を楽しむ人々の、華やかで豊かな生活!大正から昭和の初め、ちょうど日本人の暮らし方が大きく変わった時期です。新しい生活の中心に三越あり。夕景であることが、更に「夢」や「憧れ」感を増幅させますね。
委託図案家として三越のPR図案を一手に引き受けていた非水。単なる図案家の枠を超え、三越のブランドイメージメーカーとしてなくてはならない存在でした。その影響力は、当時「三越の非水か、非水の三越か」といわれたそう。
ポスターを見ていると、“最先端デパート三越に行く”ステータスや、“三越で買い物する”楽しさに、 買い物は近所派のわたしでさえ、思わず「久しぶりに銀座に行こうかな」という気持ちになってしまいます。一世紀近くを経た令和の世、イメージメーカー杉浦非水に、あらためて、してやられたりです。

広告をアートとして楽しむ

gettyimages (36191)

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