積み上げはコツコツ、落ちるときは一瞬〜『お金原論』[第2回]〜

「お金」とは何か ── 。このシンプルな命題に、現代の視点から向き合おうというのが『お金原論』という新しい学問だ。現代において、私たちの生活とお金とは一蓮托生だ。お金の悩みから解放され、自由な時間を産み出し、心に描く夢のライフスタイルを実現したい。そんなあなたへ。
2017.7.18
『お金原論』という本の命題は、「お金とは何か」ということ。
「お金」という軸を通じて自分自身をニュートラルに見ることができれば、人生をもっともっと楽しめるようになるだろう。
これから毎回、『お金原論』の中身を少しずつ伝えていく。すべてが賛同を得られるものであるという確信はない。しかし、生活や人生と切っても切り離せない「お金」というものについて、1人でも多くの人に「お金とは何か」という議論に加わっていただければ幸いである。

積み上げはコツコツ、落ちるときは一瞬

私たちは、発言だけで他人を心から信用することはない。人間的信用は、過去の言動、行動、結果の一致が積み重なった結果でしか得られない。今日発言したこと、今日行動したことが、未来から見た過去となり、それが人間的信用として積み上がり、人格に結びついていくのだ。
しかし、このようにコツコツと積み上げた信用も、落ちるときは一瞬だ。それはまるで雪崩のように一瞬で崩れ去る。
有名な童話である「オオカミ少年」でもそうだが、たった数回、周りに対して偽りの発言をするだけで、「信用」というかけがえのないものを失って、人生が大きく転回していくことになるのだ。
また、信用が落ちるのは一瞬だが、信用を一瞬で築くことはできない。お金で買うこともできない。
たとえば、目の前に1億円を持っている人がいるとする。あなたとその人は初対面だ。
そのとき、あなたは「1億円を持っている」という事実だけで、「お金は結果だ。だから、1億円を持っているこの人は信用するに足る、素晴らしい人格者だ」と思うだろうか。私なら思わない。何度も会って、話を聞き、その人の行動を見て、そしてその行動に基づいた結果が出ているかということを確認しながら、徐々に「だからこの人はこれだけのお金を持つことができるようになったのだ」と合点がいき、それが信用に結びついていくのではないだろうか。
人生の重要な局面では特に信用が大きく影響する。いざというときに助けてもらえるのは、周りからの信用が高い人だ。信用が低いと、普段は仲間がたくさんいるように錯覚していても、困ったときに四面楚歌に陥り、誰も助けてはくれない。
金融機関から融資を受けるときも、信用が高い人は、低い金利で借りることができる。つまり、信用が高まれば高まるほど、夢を叶えるためのお金を低い金利でたくさん集められるということだ。
あなたが今日守った細かな約束事が信用になり、その信用が未来から見た過去として積み上がって大きな人間的信用になり、「お金」という結果として表れてくる──これが信用経済の本質だ。
まずは5年、目の前の信用をコツコツと積み上げていってみよう。たった5年、言動・行動・結果を正し、小さな信用をコツコツと積み重ねるだけで、あなたの信用は、5年後にはとてつもなく大きな人間的信用に育っているだろう。この信用が、あなたの人生のパスポートとなってくれるのだ。
(『お金原論』242〜245ページより転載)

泉 正人

ファイナンシャルアカデミーグループ代表、一般社団法人金融学習協会理事長

日本初の商標登録サイトを立ち上げた後、自らの経験から金融経済教育の必要性を感じ、2002年にファイナンシャルアカデミーを創立、代表に就任。身近な生活のお金から、会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを構築。東京・大阪・ニューヨークの3つの学校運営を行い、「お金の教養」を伝えることを通じ、より多くの人に真に豊かでゆとりのある人生を送ってもらうための金融経済教育の定着をめざしている。『お金の教養』(大和書房)、『仕組み仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、著書は30冊累計130万部を超え、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。一般社団法人金融学習協会理事長。

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