2019年2月3日 更新

カナダ ワーキングホリデー体験談 救急歯科で仕事してみた

ワーキングホリデーでイギリス、オーストラリアに並び大人気のカナダ。その理由は、「安全」「親日」「移民大国のため英語が苦手でも何とかなる」などが挙げられます。新たな体験を求め、カナダでのワーキングホリデーを選んだ理由や、一味違ったワーキングホリデー経験までご紹介します。

患者さんが来てからは日本の歯科と同じように、保険証などがあれば提出してもらい、問診票を書いてもらい、症状を聞き、治療するといったごく普通の流れですが、一点全然違う事があります。
それは歯痛できた患者さんの多くは、歯を抜いてしまうということです。
カナダの救急歯科では抜歯をする患者さんを毎日何名も診ました。

治療準備

私たちスタッフが事前に必要なものを準備しておきます。この写真は、治療開始時にドクターが準備しているところです。

日本とは全然違うカナダの歯科保険事情

治療ユニットから

休憩時間中。シーズン最初に雪が降った日に撮ったもの。
なぜ虫歯になっただけなのに抜くのか。日本は国民皆保険なので、医療費は3割負担で、万が一高額になったとしても高額医療費として多く払い過ぎた分は返還されるという制度があります。
カナダにも同じように医療保険に関する充実した制度がありますが、歯科は適応になりません。カナダのトロントがあるオンタリオ州では市民権を持っている人は無料で医療を受けることができますが、歯科は子供だけが無料。
大人は自分で歯科保険に入ってないと有料なのです。そして、歯科保険に入ってない人が本当に多い。大きな企業に勤めてる方ならまだしも、アルバイトの人や不定期収入、失業している人、お金のない人は保険に入ってないことが多く、日本で言う生活保護にあたる人の虫歯の治療費は、削る温存治療には適応されず、抜歯代しか政府から支払われません。
そのため、極限まで痛くなってから歯科に行き、治療という選択肢がない方が多くいます。
そして、生活保護を受けている方は治療費が少ししか支払われない為、歯科医たちは治療をしたがりません。色々なクリニックで断られた患者さんが最終的にたどりつくのが、私が勤めていた24時間救急歯科というわけです。
この、生活保護の方々の中には紛争が絶えないところから難民としてきた方々も該当しますが、それとは対照に、ごく普通の人のように思われるカナダ人も薬物の匂いをさせながら生活保護を受けていたりします。(街中ではほとんど見かけませんが私が務めていたところは緊急の病院だったので普通に来ていました)
好きで難民になったわけでも無いのに歯を抜かなければならなくなってしまった人がたくさんいる一方で、自分の堕落した生活に甘んじている人が同じ扱いになっていること、どこの国に行っても社会的、政治的な問題があるのだなと改めて考えさせられました。
先進国とはいえ日本との保険事情とは大きく異なっています。

カナダのワーキングホリデーで学んだこと

ワーキングホリデー期間中、日本では経験できないことが出来ただけではなく、自分とは全く異なる考え方や人種の人と友達になり、それぞれの国の文化、政治的背景、歴史など考えさせられることが多くありました。
また、毎日英語でドクターや患者さんとのコミュニケーションをしたことで英語力がグッと鍛えられました。最初のうちは間違う事が恥ずかしく、あまりはっきりと話せていませんでしたが、多民族の集まるトロントでは間違って当然と思っている人が非常に多く、「英語ができない」ことを1人で恥ずかしがってる事こそ恥ずかしいことだと分かりました。何より、できない英語を汲んで会話をしてくれるのもカナダ人の役目という雰囲気がどこか漂っています。トロントでは着いたその日から恥ずかしさを捨て、わからないことはなんでも何度でも聞いてどんどん話す事で英語力を伸ばしてください。
ワーキングホリデーは、人生の中でも上位に入る学びだと思います。機会を活かすも潰すも自分自身です。友達や周りの人の成功体験を聞いてその通りに行動するのではなく、自分がどうなりたいか、何をしたいかを自分でも探してみてください。かけがえのない経験を手に入れる事ができるワーキングホリデーはあなたにとって、貴重な体験になることでしょう。

のぞ

大好きな旅を通して知る世界を少しでも共有できたら嬉しいです。
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