フレックスタイム制とは? 就業規則と労使協定
フレックスタイム制とは、一定の期間(精算期間)内の総労働時間をあらかじめ定め、期間内の各日は原則として好きな時間に仕事ができる働き方。精算期間は1か月以内とされています。
勤務時間には、必ず出社・稼働する「コアタイム」と、出社・稼働を個々の労働者が決められる「フレキシブルタイム」があります。
フレックス制を導入するには、まず労使協定で導入について合意し「基本的枠組み」を定めます。
<基本的枠組みとは>
誰が対象なのか(全社員、一部の課の社員、個人など)
精算期間はいつからいつまでか(多くは1か月単位)
精算期間における総労働時間(法定労働時間内で定める)
標準となる1日の労働時間(有給をとった場合に何時間労働したと見なすのか)
コアタイム、フレキシブルタイムの開始時刻と終了時刻
次に、就業規則を変更しましょう。始業及び終業時刻を労働者の決定に委ねることを定め、労使協定に基づいて精算期間および精算期間における総労働時間も定めます。
フレックス制のメリットと助成金
2つめは、睡眠負債の軽減。朝型・夜型は遺伝子によって決まると言われています。社員が自分の体質に合わせて出社・退社できれば、夜型の人も安心して眠れます。
3つめは、育児や介護に合わせた勤務をしやすいこと。従来の勤務体制だと、育児や介護で遅刻・早退が発生するたびに有給を使っていました。フレックス制なら、有給を使わずに柔軟な出社・退社が可能です。
最後に、時間を効率的に使えること。ヒマな日は早めに切り上げ、忙しい日はその分働くことができます。総労働時間が法定労働時間を超えなければ残業にならないため、経営側にとってもコスト削減になります。
東京都は中小企業を対象に「働き方改革助成金」を支給しています。一定の要件はあるものの、フレックス制を導入して3か月〜12か月のうちに月1回以上の実績があれば10万円を受給可能。フレックス制導入を検討している中小企業は、東京都産業労働局のサイトを確認しましょう。
フレックス制のデメリットと解決法
フレックス制に適しているのはフレキシブルタイムに誰もいなくても問題ない事業。従業員数が少ない小売業やラインを動かす時間帯が固定されている工場では現実的ではありません。コアタイムの調整等の工夫が必要です。
フレックス制では遅刻や残業の判断をしにくく、精算期間の総労働時間をしっかり把握しないと給与計算ができません。勤怠管理システムを整備し、きちんと運用する必要があります。
また、社内コミュニケーションのとりにくさもあります。会議や主要な連絡はコアタイムに行い、フレキシブルタイムでは、メールやチャットで早めに連絡をとりましょう。
コアタイム、残業と休日出勤の扱い
時間外労働については、精算期間後に法定労働時間との比較で計算します。たとえ1日10時間労働した日があっても、総労働時間が法定労働時間を超えなければ残業ではありません。法定労働時間を超えた場合は、超えた時間分の割増賃金が発生します。
初めは面倒でも優秀な人材確保に
しかし、フレックス制を導入できた企業では多くのメリットを実感しており、優秀な人材の応募も増えているとか。感染症拡大防止や混雑緩和などの解決策にもなります。
多くの問題が発生している現在は、フレックス制導入を再び検討する最適なタイミングと言えるでしょう。
フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き|厚生労働省 http://www.gstatic.com/generate_204
働き方改革助成金|東京都産業労働局 https://hatarakikata.metro.tokyo.jp/jyosekin/
2019年労働時間等実態調査集計結果|一般社団法人日本経済団体連合会 https://www.keidanren.or.jp/policy/2019/076.pdf