マルチタスク派、それともシングルタスク派?あなたはどっちにする?

マルチタスク・シングルタスクという言葉が聞かれて久しいですね。一時は、マルチタスク派は効率良く仕事ができる人間で、シングルタスク派はそうではない人間、と思われていた節もあります。結論としては、自身と仕事・職種の特性を理解した上で、自ら「選択」すれば良いのです。

2019.4.5

マルチタスク派の強味・弱味やオススメの仕事のしかたは?

マルチタスク派の強味は、何と言っても複数案件を同時並行でこなしてゆくことに長けていることです。このため、当初の想定外の突発的な仕事が入ってきても、、シングルタスク派よりも柔軟に対応できる傾向が強いのですね。
上長から見れば、仕事を振りやすい部下に映るでしょう。加えて、同時に複数の仕事をこなしてゆく効能として、良い意味での気分転換ができますから、ストレス耐性が比較的高くなるメリットも見逃せません。
一方、マルチタスク派の弱味としては、集中力に欠けて移り気になりやすい傾向があることです。マルチタスク派はシングルタスク派に比較して、一つの案件を完遂する前に、興味・関心が別のことに向いてしまいがちです。特定の仕事の完成度という面から見ると、マルチタスク派は比較的低くなる傾向を否定できません。反面、拙速を旨とする対応が重視される仕事では、マルチタスク派の強味が発揮されます。
オススメの仕事のしかたですが、マルチタスク派にありがちな個々の仕事の精度・完成度(クオリティ)が低くなることを避けるために、個々の仕事をさらに細分化(タスク化)して、チェックしながら処理することが有効です。この各々のタスクを同時並行で処理してゆくことで、本来のマルチタスク派に合った生産性の高い仕事スタイルも維持できます。仮に、それぞれのタスク処理のクオリティがそこまで高くなかったとしても、案件全体として見た場合、仕事のクオリティを底上げ可能です。

シングルタスク派の強味・弱味やオススメの仕事のしかたは?

シングルタスク派の強味は、一点集中で1つのことに没頭できることです。このため、マルチタスク派よりも個々の仕事の精度・完成度が高くなりやすく、クオリティの高いアウトプットを期待できます。
上長の目線からは、人的リソースに余裕があるのであれば、丁寧な仕事を積み重ねることが必要な案件を専任でやらせたいところですね。他方、シングルタスク派の弱味は、同時並行で複数の案件を処理することが苦手なことで、効率の悪い仕事スタイルに映りがちです。
ある案件を任されている際に突発的に別の仕事が飛び込んで来て、即時対応を求められるような状況になると、パニックを起こす可能性があります。シングルタスク派はマルチタスク派に比べ、ストレス耐性が低くなる傾向を否定できないのですね。加えて、シングルタスク派は、物事に対するコダワリが良くも悪くも強いきらいがあります。このため、1つの仕事を完成させるのに、当初の想定以上の工数(時間)をかけがちで、納期を守れなくなるリスクが高まります。
シングルタスク派にオススメな仕事のしかたは、個々の作業(タスク)を完了するごとに、処理のPriority(優先順位)を毎回見直すクセを付けることです。タスクのPriorityを時折付け直しながら、仕事をこなすスタイルにするのですね。
シングルタスク派は一点集中で個々の作業に没頭しますので、自分がカバーすべき仕事を単なる時系列でこなすと、納期に間に合わない(相手の期待するタイミングで対応できない)可能性が出て来ます。このような事態を回避しやすくなります。

マルチタスク派・シングルタスク派それぞれに向く仕事・職種は?

まず、マルチタスク派に向いた仕事・職種を考えます。マルチタスク派は複数案件を同時並行で効率良くハンドルできるため、プロデューサー・コーディネイター的な立ち位置での仕事に向きます。調整、折衝、取り纏めなどが必要なプロジェクトマネージャや企業・官公庁の中・上級管理職、経営者、複数のクライアントを抱える弁護士、公認会計士、税理士、行政書士などは、マルチタスク派に適した仕事・職種だと言えそうです。
次に、シングルタスク派に適性がある仕事・職種です。シングルタスク派は、各々の仕事を丁寧に仕上げてゆくことに長けるので、周りから突発的な仕事を振られ難い職人的な職種に向きます。その上、目標に向けて1つのことにコツコツ取り組むことは得意です。自分のペースで仕事を進められる大学教員、研究職、ライター、デザイナー、プログラマー、インセンティブ制の営業職、農業・漁業従事者などは、比較的シングルタスク派に適性がありそうです。医師も勤務医であるならば、シングルタスク派に適性があります。
開業医になると、医師であると同時に経営者にもなりますから、マルチタスク派の方が俄然優位になります。いずれにせよ、自身と仕事・職種と双方の特性を見極めた上で、マルチタスク派・シングルタスク派を意識して選択することがポイントです。この特性を無視して、周りからの評価だけに流されて仕事・職種を選択してしまうと、本来の適性が発揮されず、生産性の高い、効率の良い仕事ができなくなるリスクが高まります。自ずと、生き辛い人生を歩む羽目になってしまうのですね。
Kenneth S

Kenneth S

総合商社のIT戦略担当からIT系ベンチャー企業の経営補佐などを経て、現在は海外在住の個人投資業。時折、物書きもしている。
]]>