働き方改革が進むなか、「本業があるのに副業をするのはダメ」だった政府の根本的方針が、労働力不足などの影響で「副業OK」へ方向転換しました。そして、職場環境や企業方針に少しずつ変化が。
人生100年時代を自分らしく生きるべく、パラレルキャリアの考え方についてご紹介していきます。
ドラッカーが提唱した「パラレルキャリア」とは
「パラレルキャリア」とは、現代経営学の父として知られるオーストリア人経営学者ピーター・ドラッカーが、1999年に著した「明日を支配するもの」のなかで提唱した考え方です。
パラレルとは「並行」を意味し、キャリアは「仕事・経歴」といった意味を指します。つまりパラレルキャリアとは、並行して異なる仕事・経歴を積み重ねていくことを意味しています。
医学などさまざまな影響もあり、人間の寿命は少しずつ長くなっていきました。これまで終身雇用をよしと考えてきた時代背景がある一方、企業(組織)の寿命よりも人間の寿命が長くなってきているのが現状です。
ひとつの企業にとらわれることなく自分のスキルや能力を高めていくためにも、本業とは異なる仕事を持つことは、これからの人生にとって大切になってくると想定されるでしょう。
「副業」とは異なる「パラレルキャリア」の本当の意味
本業とは別の仕事を持つ意味で「副業」という言葉もよく使われます。では、副業とパラレルキャリアは同じ意味なのか?というと、決してそうではありません。副業とは、「お金を稼ぐこと」が主な目的として考えられています。
副業では、やりがいはもちろんですが、スキルを活かしてより一層収入アップを目指したい、本業だけでは経済的に心もとないといった場合に、はじめる人が多い傾向にあります。
一方でパラレルキャリアは、自分自身のスキルアップや社会的活動などで生きがい・やりがい・喜びへとつなげるものです。つまり、お金を稼ぐことが本来の目的ではなく、キャリア・仕事内容に重きを置くのがパラレルキャリアといえるでしょう。
収入面ではそれほど大きな魅力はないものの、「自分のスキルを高めることができる」「本業とは異なる分野の力を伸ばすことができる」「将来的に本業を辞めた場合にも自信をもって社会で活動していく力をつけることができる」のは、パラレルキャリアの強みでもあります。
パラレルキャリアで人生を喜びに満ちたものへ
パラレルキャリアによって本業とは異なる分野に視野を向けることで、ライフワークを見つけるきっかけにつながることも多いです。
たとえば本業を持ちながらも、長年の夢だった趣味の領域でキャリアを積むこともパラレルキャリアのひとつ。スポーツ・音楽・ハンドメイドなど、本当は好きだけれど本業では続けるのが難しかった領域で、本業の合間に活動をすることも一例です。
ボランティア・NPO法人などでの活動も、人生により深みを与えるきっかけにつながるでしょう。社会的に「誰かの助けになれる」ことで、自分の存在意義や生きがいを見出し、本業にもプラスに働く可能性があります。
現在の本業の延長線で、社外活動を展開する企業もあらわれています。企業自体がパラレルキャリア「第二の名刺」を持つ活動に積極的になり、結果として社業の生産性向上につながったというケースも。
あなたは何枚の名刺を持ちますか?
これまでの日本は、本業にすべてを注ぎ、終身雇用で生きることがよしとされてきました。ひとつの仕事に向き合うことが素晴らしく、別の仕事に関心を向けたり、転職を考えたりことは罪悪感につながったというケースも。
しかし、これからは本業以外で別の名刺を持って活躍できるフィールドが広がる可能性が高いです。あなたは、何枚の名刺を持って生きていきますか?