2017.11.09
そんな学校では習わない「幸せとは何か?」を論理的に説明した人物がいます。それが今回ご紹介する『幸福の資本論』の著者、作家の橘玲(たちばな・あきら)氏。経済や金融に関する著作が多く、05年には小説『永遠の旅行者』が第19回山本周五郎賞の最終候補にもなった方です。
「幸せは人それぞれ」なのは分かっているけど、自分には何が足りていないのか? どんな方向で努力をすれば幸せに近づけるのか? それを知りたい理論派の読者にとくにハマる本だと言えるでしょう。ではさっそく「幸福の資本」とは一体何なのか?その真相に迫りたいと思います。
幸福になるための「3つのインフラ」
本書の最大の特徴は、幸せになるために必要な「3つの資本」を提示していること。よくスピリチュアル系の本では「幸せになる○○の法則・習慣」などが紹介されていますが、そうではなく幸せになるための“土台”について論じています。
そして橘氏が、幸せになるために必要とした3つの資本(資産)。それは……
「金融資産」・・・不動産を含めた財産
「人的資本」・・・働いてお金を稼ぐ能力
「社会資本」・・・家族や友だちとのネットワーク
「人的資本」・・・働いてお金を稼ぐ能力
「社会資本」・・・家族や友だちとのネットワーク
この3つ。これらの合計値が多ければ多いほど、人は自由に満足度の高い仕事をして、仲間との絆を感じながら暮らすことができる=幸せな状態に近づけるとしています。そして、この主張こそ本書の核心部です。
では次に、この3つの資本を持つ人と持たない人がどんな人生を歩んでいるのかをご説明します。
3つの資産で決まる「人生パターン」
「金融資産」「人的資本」「社会資本」が幸せの土台になることを紹介しましたが、橘氏いわく、これらを持つor持たないのバランスによって人は「様々な人生パターン」に分類されるのだそうです。例えば、田舎のマイルドヤンキーたち。彼らは収入も低く貯金もありませんが、友人は沢山いるので自分は幸せだと感じています。次に都会で暮らす「リア充」と呼ばれる人たち。彼らは金融資産こそ少なくても、高収入を得られる職業に就き、友人や恋人もいるのでもちろん幸せです。
どちらも幸せを感じている両者ですが、じつは「社会資本」しか持たないマイルドヤンキーたちは、何かのきっかけで友人関係に亀裂が入るとすぐに不幸に見舞われます。対してリア充たちは「社会資本」を失っても「人的資本」が残っているので不幸になりにくいのだそうです。