誤解してない?改めてダイバーシティの本質について考える

近年、政府が推進する「働き方改革」に関連してよく耳にする「ダイバーシティ」という言葉。あまりにも耳慣れた単語ゆえ、まるですべて知っているかのような気分になっていませんか?今回は、改めて「ダイバーシティ」の本質について考えていきます。

2019.9.11
「ダイバーシティ」というと、シンプルに英語訳すれば「多様性」という意味。女性・高齢者活躍社会を目指すことが注目されていますが、それだけではありません。今回は、今一度「ダイバーシティ」について考えていきます。

ダイバーシティとは?

ダイバーシティとは、多様な人材を活用して企業の発展につなげる考え方。女性・高齢者をはじめ障がい者や性的マイノリティなど、人種・性別関係なくさまざまな人材を活用することにより、企業がイノベーションを生み出していくことを目指します。 これからの社会では、パーソナリティや斬新なアイデアを活かし、他企業との競争力を高めることが企業発展に大きく影響します。「他と同じ」では、企業の魅力を表現することは困難。企業の魅力はもちろんですが、それぞれの人材が持つ能力を最大限活かすことがこれからの企業にとって重要なポイントです。

女性役員を増やす=ダイバーシティ?

ダイバーシティを勘違いしている企業によくあるのが、「女性役員数を増加した」というアピール。確かに近年の政府は「女性活躍社会」を目指していますが、それだけで企業がダイバーシティを導入したとは言い切れません。 女性の登用はダイバーシティのごく一部に過ぎず、女性を含めた多様な人材・能力を活かすことが重要なキーポイントなのです。

日本では Inclusion(受容)が抜け落ちている?

Team Spirit Cohesion Together - Free photo on Pixabay (46627)

ダイバーシティとは、本来「Diversity(ダイバーシティ・多様性) & Inclusion(インクルージョン・受容)」であり、双方の意味を含むものとされます。しかし日本では、ダイバーシティという言葉が横行し、インクルージョン=受け入れるという意味が抜け落ちてしまっているのではないでしょうか? 本来のダイバーシティとは、多様な人材を活用することに加えて、その活躍を促す・受け入れるという意味も含んでいます。

ダイバーシティは大切な人材確保にも重要

ダイバーシティは、多様な人材を活用することで、それまで眠っていた各人材のスキルを発掘することにもつながります。近年の就職・転職業界では、バブル期以来の売り手市場。有効求人倍率も高数値を維持し、多くの企業が人材の獲得に四苦八苦しています。 しかし一方で、国内の労働力人口は減少傾向にあります。自社にマッチした人材が欲しくても、採用募集しても人が集まらない、せっかく定着してきた人材が離職してしまったという問題に悩む企業も少なくありません。
そんななか、人材確保という意味でもダイバーシティは企業から注目されています。年齢・性別・人種の多様性を超えて能力を活かせる企業は、人材が定着しやすい環境づくりがスムーズに行えているともいえるでしょう。

ダイバーシティは自由・わがままを貫くことではない

ダイバーシティは、個性、多様性を大切にするもの。労働者側からすれば、「自分らしさ」を大いに活用できるわけです。これまでの日本によくある「協調性」「主従関係」という枠組みから、「個性を消す必要はない」という考えをあきらめる必要はなくなります。 しかし、「私は自由な時間に出社したいです」「私はこのやり方がいいから他の社員と違ってもいいですよね」「私は○○の書類は提出したくないのでいらないですよね」など、社員それぞれがあまりにも自由気ままな発言をし始めたらどうでしょう?
ダイバーシティとは多様性であるものの、ある程度社内の決まりには従う必要があります。自由を通り越して「わがまま」になってしまっては、本来のダイバーシティから大きく逸れてしまうのです。

労働者側は多様性を求めるだけでなく提案もしてみよう

企業側は、柔軟・多様な働き方ができるよう社内を変えようと検討しています。なかには労働者側に要望を求めることもあるでしょう。その際、一方的な自由さを求めるのではなく、労働者として何ができるか、どういった付加価値を提供できるか、提案できるようにしておくことも大切です。 要求ばかりを並べるのではなく、働き方など選択肢を増やすことでさらなる生産性を高められる、実績をアップさせられるなど、双方にとって有効な提案をすることがビジネスパーソンに求められています。
湊音

湊音

元総務・人事キャリアを持つフリーライター。これまでの経験を活かし、「仕事」「働き方」などのテーマを中心に執筆活動中。女性がのびのびと多様な働き方を実現できるべく、常に新しい情報をキャッチしています。
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