フィンテック(Fintech)とは、ファイナンス(Finance)とテクノロジー(Technology)の2つが融合した新たなサービスの総称。今まで金融機関の専門分野であった “金融サービス”を、IT技術の力で“ユーザーが直接利用可能”にすることを意図しています。
では具体的に、どんな分野でのサービスがあるのか? より身近な“スマホで使えるサービス”を例に見ていきましょう。
いつでもどこでも安く「送金」
まず、大きく盛り上がりを見せているのが送金の分野。個人間で送金をするにも、従来は銀行窓口やATMへ出向く必要がり、営業時間帯による制限もありました。それが、フィンテックの登場で“いつでもどこでも”金融機関へ行かずして可能となったのです。
例えば『Kyash』は、電話番号やSNSを経由して個人間の送金が行えるアプリ。登録の際にVISAブランドの“バーチャル上のクレジットカード”を発行し、そこに受け取ったお金を貯めることができる仕組みで、Amazonや楽天などのネットショッピングでの使用や、モバイルSuicaにチャージすることが可能です。
参考:Kyash
また、海外の相手に送金をする際には、手続き手数料に加えて多額の為替手数料が発生することが大きな負担となっていました。
そんな中で「為替手数料をゼロにした」と注目を集めているのが、英国発の海外送金サービス『TransferWise』です。このビジネスモデルは、2国間の別々の(両方向の)送金依頼をマッチングさせ、実質は“国内取引のみで決済を完結”させる仕組み。
例えば
国内のAさん(英国のBさんに送金をする)と国内のCさん(英国のDさんから送金を受ける)をマッチングさせ、実質A→C間・B←D間の国内で送金を完結させる…といったもの
為替手数料の発生を防げるため、一般的な銀行を利用する場合と比較して、最大1/8程度の手数料で海外送金を行うことが可能になっています。
参考:TransferWise
広がる次世代の「決済」
フィンテックは送金だけでなく、実店舗での決済の領域にも。特に飲食店業界においては、人手不足解消・レジ業務効率化の観点から、スマホを利用した決済サービスの導入が増加の一途をたどっていま
最近ではより進化した“事前決済サービス”も誕生しています。例えば『Putmenu』では、“入店前に注文と支払いを同時に”行うことが可能。店内座席のPマークの部分にスマホをかざすと同時に厨房に情報が届き、調理が開始される様になっています。
アプリからいつでもメニューを閲覧できるので、暇な電車移動中などにオーダーを決められる上、店の混雑時にも待たされることなく注文・支払いができる点が大きなメリットです。
参考:Putmenu
ロボアドバイザーで簡単に「投資」
『ロボアドバイザー』は、株式などの金融商品を自動で買って運用してもらえる新しい投資システム。これも、フィンテックを活用したサービスの1つです。
通常、どうしても知識や時間を要するのが、投資配分の選定。ロボアドバイザーを利用すれば、年収・資産額・投資目的などの質問に答えていくことで、各々のリスク許容度に最適な金融商品の組み合わせを、瞬時にコンピューターが提供してくれます。
注目されているもう1つの点は、銀行窓口や証券会社を通した取引と比べて手数料が割安なこと。ネット上で完結する取引であるため、その分の人件費が削減されている恩恵と言えます。
ロボアドバイザーを活用したものには、少額からスタートできるサービスも数多く存在しています。投資未経験者の方は、このロボアドバイザーから投資を始めてみるのもひとつの手ではないでしょうか。
参考:WealthNavi
より個人に合った「融資」
コンピューターが、利用者の経済状況などのデータを基に“信用度”を判定。最適な融資を個別対応で行うサービスも登場しています。
みずほ銀行とソフトバンクにより設立された『J.Score』では、ビッグデータとAIによって算出されたスコア(1000点を上限とする)によって貸付利率・契約極度額が算定されます。
診断方法は、チャット形式でAIからの質問に回答するのみで、その後の審査・申し込みもネット上でスピーディーに完結。年収の他に、学歴や生活習慣に関する回答がスコア判定に含まれる点もユニークです。
また、利用中もAIによるスコア診断は随時更新ができ、スコアアップによる貸付利率引下げ・契約極度額アップの検討なども可能となっています。
参考:J.Score
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
フィンテックの普及で、自宅にいながら金融取引ができるサービスが続々登場しています。
特に資産運用の面では、そのハードルが大きく下がることが期待されており、政府も成長戦略の1つとして普及を推進する方針を決めています。近い将来、これらの領域に位置するサービスは、より我々の生活に身近になっていくでしょう。
必要とする分野の新サービスを賢く使いこなし、フィンテックがもたらす恩恵を最大限に享受しましょう。