2018.4.17
『お金原論』という本の命題は、「お金とは何か」ということ。
「お金」という軸を通じて自分自身をニュートラルに見ることができれば、人生をもっともっと楽しめるようになるだろう。
これから毎回、『お金原論』の中身を少しずつ伝えていく。すべてが賛同を得られるものであるという確信はない。しかし、生活や人生と切っても切り離せない「お金」というものについて、1人でも多くの人に「お金とは何か」という議論に加わっていただければ幸いである。
「お金」という軸を通じて自分自身をニュートラルに見ることができれば、人生をもっともっと楽しめるようになるだろう。
これから毎回、『お金原論』の中身を少しずつ伝えていく。すべてが賛同を得られるものであるという確信はない。しかし、生活や人生と切っても切り離せない「お金」というものについて、1人でも多くの人に「お金とは何か」という議論に加わっていただければ幸いである。
他人のお金の使い方にこそ人格が出る
お金はあなたを映す鏡だ。あなたのお金の使い方を見れば、あなたの人格そのものが見えてくる。
しかしさらに、その人の本質が顕著に表れるのが、「他人のお金」の使い方だ。むしろ、自分以外の人のお金を使って何かを行う場合にこそ、その人の本当の人格が出るといっても過言ではない。
たとえば、あなたはこんなお金の使い方をしてはいないだろうか。
●レストランで注文するとき、自分で支払うのであれば「ちょっと高いから」と注文し
ないであろうと思うメニューを、誰かのおごりだったら注文する。
●自分で支払うときは残さず食べるのに、誰かのおごりだったら残してもいいや、とい
う気になってしまう。
●普段ならタクシーを使うのは最寄り駅までだが、タクシー代を出してあげると言われ
たら、そのまま自宅まで乗って行く。
●自宅ではトイレットペーパーを無駄遣いしないように気をつけているのに、公衆トイ
レやレストランでは贅沢に使ってしまう。
●自宅で充電すると電気代がもったいないからと、わざわざ会社でスマートフォンの充
電をする。
●仕事で業務を外注する際に、自分のお金だったらもう少し安いところがないか探して
みるのに、「会社のお金だから、まぁいいか」と、適当なところで妥協してしまう。
●白黒や縮小コピーでも十分なのに、会社の経費だからとあまり深く考えずにカラーで
印刷する。
●自費で旅行するなら早起きしてでもLCC(格安航空会社)を使うのに、出張の経費
であれば、当然のようにANAやJALに乗る。
「他人のお金、といっても、会社の経費であれば誰も懐は傷まないのでは?」と思うかもしれない。しかし、それは大きな間違いだ。
自分を会社の経営者に置き換えて考えてみるとわかりやすい。自分が経営者だったら、いくら潤沢に資金があるとはいえ、わざわざ無駄な経費を払うことをよしとするだろうか。無駄な経費を払うくらいであれば、その分を売上げ拡大のための投資に使いたいと考えるはずだ。あなたが会社の経費を無駄に使っているということは、たとえ金額は小さくても、ボディブローのように、本来なら投資に回せるお金を会社から奪っているということにほかならないのだ。
自分のお金なのか、他人のお金なのかで行動が変わるということは、1カ月の小遣いが300円の子どもが、自分の小遣いなら絶対に買わない1個500円のお菓子を、お母さんと一緒にスーパーに買い物に行ったときには、気が大きくなって買い物カゴに放り込むのと同じことだ。
「夫がお金を出してくれるなら、できるだけ高いものを買ってもらいたい」
「自分のお小遣いではなく、妻が管理している生活費から出してもらえると得をした気分になる」というのも、基本的な思考回路はお菓子を買う子どもと同じだ。
「自分のお小遣いではなく、妻が管理している生活費から出してもらえると得をした気分になる」というのも、基本的な思考回路はお菓子を買う子どもと同じだ。
短期的な「得」と引き換えに失っているもの
こうした行動によって、金額的には、いくばくかの「得」をすることができるかもしれない。しかし、その「得」を引き出した相手からは、あなたの思考の本質がスケルトンさながらに透けて見えていることを忘れてはならない。
それが、お金の教養STAGEの高い相手であるならば、なおさらだ。あなたがいくら上手に立ち回ったつもりでも、お金の教養STAGEの高い相手からは、面白いくらい手に取るようにすべての思惑が透けて見えている。
唯我独尊の思考が透けて見えては、到底信用を築くことはできない。結果的に、お金の教養STAGEが高い人にかわいがってもらえるチャンスも、新しいSTAGEへと引き上げてもらえるチャンスも、そこから新たな出会いが広がるチャンスも失うことになる。短期的な「得」と引き換えに失っているものは、とてつもなく大きい。
自分のお金であっても、他人のお金であっても使い方が変わらない、むしろ他人のお金だからこそ、使わないか、自分のお金以上に大切に使う──人間的信用を築くうえでは、こうした行動が不可欠だ。金額的な「得」は数万円、もしかしたら数十万円かもしれないが、そこで失った人間的信用は100万円、1億円を出しても買うことができないのだから。
(『お金原論』247〜251ページより転載)