流される力(20)トラスティを引き寄せる人になろう

流される力
自分の「我」や「未熟なこだわり」を捨て、結果を出している人のアドバイスを素直に聞いてそのまま行動する、これが「流される力」=信託思考です。より多くの人に流されることで、速く成長し、人生の成功を手にできます。泉正人著「流される力」より抜粋。
2019.3.28

トラスティを引き寄せる人になろう

繰り返しになりますが、「教えたくなる人間になること」が思考信託を成功させるうえでとても重要です。
「トラスティがまわりにいなくて、だれも教えてくれない」という他責の考えは言い訳になってしまいます。
では、どうすれば教えたくなる人間になれるか、つまリトラスティとなる人を引き寄せられるか、そのポイントを整理しておきましょう。

①小さなことでも素直に行動に移す

トラスティを引き寄せる人は、小さなことでも素直にやります。
一方、引き寄せられない人は、聞いただけで行動に移しません。なにかを教えてもらっても、「いいですね」だけで終わってしまったり、「自分の考えとは違う」と反発します。
ちなみに僕は、「24時間ルール」を設けています。つまり、なにかを教えてもらっ
たら、24時間以内になんらかの行動を起こしています。
たとえば、おすすめの本を教えてもらったら、その場でネット書店を利用して本を注文してしまいます。

②行動したら結果を報告する

トラスティの教えを聞いて行動したとしても、その結果を報告しないと、せっかく良い情報を教えてくれたトラスティに失礼です。
たとえば、おいしいラーメン店を教えてもらったら、「ラーメンおいしかつたです。とても良いお店でした」と結果を報告するのが礼儀です。
トラスティは、何十時間、何百時間も費やして知識をたくわえたり、何十件ものラーメン店に通った結果、選んだものを教えてくれているのですから、その労力に敬意を表し、「ありがとうございました」とお礼の一言は最低限でも伝えるべきでしょう。
結果をフィードバックすれば、トラスティも「なかなか教えがいのあるやつだ」と感じ、僕がI君に服装を教えたときのように、また新しい情報を教えたくなります。もしもラーメンが自分の好みの味ではなかった場合は、「わたしには合いませんでした」でもかまわないと思います。味覚は合わなくて当然です。
リアクションをすることが重要です。そうしなければ、相手から情報を与えてもらっただけで、お返しができていない状態になってしまいます。

人付き合いの基本は、「相手への貢献」

だと思いますが、多くの場合、教えを受ける僕らは、先を進んでいるトラスティに対して貢献できることは少ないでしょう。
ビジネスなら、情報をいただいたらフィー(料金)というかたちでお金を返せばよいでしょうが、人付き合いではそういうわけにはいきません。

フィードバックという報告を忘れることなく行うことが、トラスティに対するいちばん大きな貢献になる

と僕は考えています。

③調べたうえで質問をする

本などを読まず、なにも調べていない状況で質問をする人は、トラスティを遠ざけてしまいます。
たとえば、僕に「不動産投資をはじめようと思うのですが、なにからはじめればいいですか?」となにも調べないで聞いてくる人に対しては、なにから教えてよいかわかりませんし、心理的にも教えてあげたいとは思わないでしょう。
もし聞くことができたとしても、それは当たり障りのない情報である可能性が高いと思います。
教えるほうの立場になるとわかりますが、なにも努力をしないで、ただ教えてくださいと言われても真剣さが伝わらないので、「まずは自分で考えなさい」、あるいは「あまり熱心に教えなくてもいいかな」と思ってしまいます。
しかし、次のように質問されたらどうでしょうか。
「不動産投資の本を100冊読みました。いずれは都心に5件くらいの物件を買いたいと思って、毎週10件の物件を見てまわっています。いまは500万円たまっているのですが、都心のワンルームから買ったほうがよいですか? それとも地方の物件を買ったほうがよいですか?」
このような質問だと、その人の真剣さが伝わり、教えるほうも真剣に教えてあげたいという気持ちが働きます。

努力をしない「教えて君」はトラスティを遠ざける

自分で努力することなく成果を得たいという姿勢では、トラスティは親身になって有益な情報を教えようとは思わないでしょう。
それはトラスティだけではなく、社内や友人関係など、まわりの人すべてに共通することだと思います。
本田直之さんの著書『レバレッジ人脈術』(ダイヤモンド社)の中には、次のような記述があります。
「人はそれぞれに限られた時間を過ごし、それぞれに情報を持ち、またそれぞれに人脈を持っています。これらはいずれも、各自がさまざまな努力を重ね、時間をかけて築き上げてきたものです。その意味では、各自が持つ貴重な財産です。これは、絶対的に尊重する必要があります」
トラスティがもつ情報、人脈といったものも、時間をかけて蓄積してきた大事な財産です。信頼関係のできあがっていない相手から、いきなり「あなたの財産を分けてください」と言われても、簡単には応じることはできないでしょう。
したがって、トラスティと信頼関係が構築されていない段階で、「○○について教えてください」「○○さんを紹介してください」とお願いばかりする「教えて君」は、かえってトラスティを遠ざける結果になってしまうと思います。
「なんで教えてくれないの?」と不満を言う前に、自ら努力をして教えたくなる人間になっているか、自分自身を一度振り返ってみましょう。

泉正人

ファイナンシャルアカデミーグループ代表、一般社団法人金融学習協会理事長

日本初の商標登録サイトを立ち上げた後、自らの経験から金融経済教育の必要性を感じ、2002年にファイナンシャルアカデミーを創立、代表に就任。身近な生活のお金から、会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを構築。東京・大阪・ニューヨークの3つの学校運営を行い、「お金の教養」を伝えることを通じ、より多くの人に真に豊かでゆとりのある人生を送ってもらうための金融経済教育の定着をめざしている。『お金の教養』(大和書房)、『仕組み仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、著書は30冊累計130万部を超え、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。一般社団法人金融学習協会理事長。

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