落合氏は、あらゆるものに市場原理が働き最適化される時代に必要なのは、なにも特殊能力を伸ばすことではなくて「複雑な仕事をかけ持ちすること」でいいと説きます。落合氏自身、大学教員であり研究者、経営者、メディア技術を用いたアーティストを掛け持ちしていますが、これを並行して行うAIは開発するのに莫大なコストがかかるはず。その結果「だったら落合にやらせておけ。」となるのだといいます。
能力を磨くのには限界もあるので、掛け持ちして「自分の価値を複雑化する」ことで唯一無二の存在になる作戦。これは将来の働き方の参考になるのではないでしょうか?では、堀江氏はどうでしょう。
自分の価値は「仕事ではなく趣味で生み出せ」!
堀江氏は、単純労働はおろか経営者の仕事ですらAIに代替される時代において目指すべきは「本気で遊ぶように働く人」だと言います。その代表的な存在はユーチューバーですが、彼らに共通するのは「作業にハマっていること」。つまり、好きなことに没頭しているうちに唯一無二の存在になり、それを仕事にしている人々です。
現在、会社に雇われて働いている人が急に「好きなことを仕事にしなさい」と言われてもなかなか思考の切り替えが難しく「そもそも好きなことがない」と嘆く人もいるかもしれませんが、没頭してはじめて好きという感情が芽生えることも多いので、まずは興味がある事を突き詰めてみるのはどうでしょうか?
「未開の地を築くのはいつだって人間である」
今のところAIはゴールを与えれば人間には太刀打ちできないスピードと精度でそれを処理するのに「これがやりたい」という動機を持ちません。つまり、モチベーションを持って働けるところに人間の役割があり、その手段としてコンピューターがあると考えれば、少なくとも技術に使われることはありません。
例えば、職人技術も将来的にAIや3Dプリンターが代替すると言われていますが「より良い作品を作る」というモチベーションさえブレなければ作業の効率化にAIを利用できたり、技術を組み合わせて新しいプロダクトができたりするかもしれません。このようにAIや最新技術と向き合うことで、10年後の仕事の在り方や、自分の働き方を考えてみると良いのかもしれませんね。
本書は「お金」や「幸福」についても論じられていますが、特に「未来の仕事、働き方」に関わるAIの話題を中心にまとめてみました。本書を読めば、少なくとも「AIに仕事を奪われる」という考えは変わり、将来の働き方を考えるきっかけになり得る一冊だと思います。
孫正義氏も認めた男が教える!「1分で話す」技術
2011年。ソフトバンクを率いる孫正義氏は、自身の後継者を育てるための育成機関「ソフトバンクアカデミア」を設立して社内はもとより社外から優秀な人材を集めました。倍率100倍とも言われた選考試験の内容は「3回のプレゼン」。筆記試験や面接はなく、すべてプレゼン。いかに孫氏が「伝える技術」を重要視しているのか分かります。