八村塁の年俸と彼を取り巻く皮算用|NBA、Nikeも日本浸透ねらう

経済

アメリカではNBAシーズンが10月から始まり、世界中のバスケットボールファンの注目の的となっている八村塁選手。そんな21歳の八村の気になる懐事情や彼を取り巻くビジネスサイドの皮算用について調べてみました。

2019.12.15

年棒よりも更に高い広告収入

今年6月にプロバスケットボールの世界最高峰、アメリカNBAのドラフトにて、日本人初の一巡目(9位)でワシントン・ウィザーズから指名されて以来大注目の八村塁。 新人の彼の年棒が約447万ドル(約4億8,000万円)ということにNBAの凄さを感じますが、トップ選手になるとどれだけの年棒になるのでしょうか。
米スポーツ界契約情報のウェブメディア、Sportracによると、2019年NBA年棒ランキング1位はステフィン・カリー(ゴールデンステート・ウォリアーズ)約4,000万ドル(約43億円)です。「キング」ことレブロン・ジェームズ(ロサンゼルス・レイカーズ)は7位の約3,700万ドル(約40億円)。
更に、これだけのスーパースター選手になると年棒以上の広告収入が入ります。2019年の総合年収1位のレブロン・ジェームズは約9,400万ドル(約100億円)とのこと。アメリカプロスポーツ選手の年収はまさに桁違いです。
八村も既に7社と広告契約を結び、その合計額は米「Forbes」の推定によると約1,000万ドル(約11億円)になるのではないかということです。これは、新人選手としては1位指名のザイオン・ウィリアムソンに続き2番目の額となり、NBAの全体としては上位12位以内に入るそうです。 契約先は国際契約がナイキの「ジョーダン・ブランド」、NBA公認のバスケットボールゲーム「NBA 2K」、NEC、カシオ計算機、日清食品です。加えて、日本限定契約でソフトバンクと三井住友銀行となります (Forbes)。 既に広告契約では、スター選手なみ。さらに、試合でも期待以上の大活躍ぶりで、来年は年棒も更にアップするのではという噂もあります。

ワシントン・ウィザーズもホクホク

八村を指名したワシントン・ウィザーズの試合成績はイマイチですが、八村の存在がチームのビジネス面に好影響を与えていることにウィザーズは満足しているようです。 八村を応援する日本人ファンのおかげで、チケット売上が急増しています。米「Forbes」によると、米チケット売買オンラインサイト、StubHubでのウィザーズチケットの日本からの販売数が今のところ前年比133%、全体の販売数は昨シーズンよりも17%も増えているということです。 チケットだけではなく、八村の名前入りグッズの売れ行きも好調で、八村のジャージは新人選手の中でも人気売れ筋商品の1つに入るそうです。 また、八村の存在はウィザーズと日本企業との架け橋にもなっているようです。10月にはウィザーズを保有するモニュメンタル・スポーツ・アンド・エンタテイメント社はNECと国際パートナーシップを結びました。 実は、NBAは今年、各チームが国際的なマーケティング展開できるよう、2社まで海外の企業と国際的なパートナーシップを結ぶことを許可しました。ウィザーズは早速NECと契約を結びましたが、もう1社も日本企業を選ぶだろうと言われています。 既に日本語ウェブサイトやTwitterを始めたり、日本語のできるスタッフを雇ったり、ウィザーズは日本ファンを味方につけようとしています。

日本マーケットを狙う、NBAとNike

八村に期待しているのはチームだけではなく、NBAやNikeも八村を通して日本での市場開拓を狙っているようです。
2017年に楽天とNBAはパートナー契約を結び、本格的にバスケットボールを日本に浸透させようとしています。NBA側としては八村の人気にあやかり、今こそNBAが日本市場で拡大できるチャンスとみているようです。
また、米スポーツ情報ウェブメディア「ESPN.com」では、今まで、ジョーダンブランドは日本では数百店舗でしか扱っておらず、中国、アメリカに比べたらその売上は微々たるものなので、八村が日本やアジア諸国でジョーダンブランドの象徴となり、人気を広めてくれたらと、Nikeは期待を寄せているのだろう、としています。
ジョーダン ブランド フットウエア担当 ヴァイスプレジデントのジェントリー・ハンフリーは「八村は完全補完的な役割で我々のビジネスが世界的に成長する助けをしてくれるだろう」と話しているということです。
特に、10月にNBAのチーム、ヒューストン・ロケッツのジェネラル・マネージャーが香港をサポートするコメントをTwitterに投稿したことがきっかけとなり、アメリカに次いで最も大きなマーケットである中国とのビジネスに亀裂が入るのではないかと心配されているNBAにとっては、是非とも日本での市場拡大を願っているところではないでしょうか。
様々な期待が寄せられている21歳の八村ですが、当の本人は、プレッシャーを苦とも感じない様子で、NBAのスター選手たちを相手に素晴らしいプレーを見せています。彼の今後の活躍から目が離せません。
参考記事:
K. ブリーン

K. ブリーン

アメリカの某大学経済学部卒業。主に社会経済や映画の事などを書いてます。ピラティスにはまり、指導員資格を取りました。
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