人事とAIは好相性:膨大な従業員データを有効活用
人事にAIを導入すると勘に頼らない採用と育成が可能になる
AI×人事の課題は社内の「AIリテラシー」不足
しかし、AIを導入すれば何でもすぐに解決すると考えるべきではありません。インタビューの中で、福原氏は「AIリテラシー」の重要性を強調しています。
AIリテラシーとは、AIには何ができて何ができないのかを知ること。AIはあくまで過去のデータに基づいて判断材料を提供するものであり、決定の責任者でも予言者でもありません。最終的な判断は人間が行うということを忘れてはいけないのです。
実際に人事にAIを導入してみたが効果的ではなかったと感じる場合、データは適切だったか、AIにできないことを任せようとしなかったか、判断をAIに丸投げしてAIが何でも答えてくれると考えていなかったかをチェックしてみましょう。
様々なAI活用事例:離職率低下や新卒採用の効率化に貢献
実際に人事で活用されているAIの具体的なものでは、ネオキャリアが提供する「jinjer」や日立ソリューションズの「リシテア/AI分析」、IBMの「IBM Watson Talent」などがあります。
「jinjer」は、従業員の勤怠データを離職した従業員の勤怠データの分析結果と照合し、意欲低下を察知できるシステム。「笑顔判定」という独自の機能は、出勤を記録する際の顔写真で笑顔の度合いを点数化し、点数の急激な下降がないかチェックします。
「リシテア/AI分析」も離職の可能性が高まっている従業員を発見することが可能で、AIからの通知をきっかけに従業員と面談を実施し、離職を防ぐことができました。
ソフトバンクの新卒採用で実績を上げた「IBM Watson Talent」は、応募書類の分析に加えて、従業員のキャリア相談にチャット形式で助言を行います。採用時の書類や評価、入社後の面談書類や異動履歴など多くのデータに基づき、いつでも社員のスキルと今後のポスト、キャリアアップについて確認・相談できるのです。根拠をもって具体的な問題を見据えることで、人事担当者や上長が相談にのる場合も、より建設的な提案が可能になります。
AIリテラシーを持って人事に活用を
人事へのAI導入は、機械的に人を選び配置するというイメージを抱かせるかもしれません。しかし実際は、AI導入によって人事の業務にかかる労力が削減され、人事担当者は応募者や従業員に向き合う時間を持てるようになります。
AIは従業員がより生き生きと働くための環境を提供する道具。AIリテラシーを持って道具をきちんと使えば、一人ひとりが持つ可能性をしっかり見つめ、決して機械的ではない採用・育成・配置ができるでしょう。
【参考】
・西村崇「人事業務を人工知能で効率化 人事+技術のHRテックが採用、社員管理を変える」、日経ビジネス、2018年4月18日、https://business.nikkei.com/atcl/report/15/226265/041700251/
・入社後活躍研究所「人工知能(AI)とビッグデータが、人事を『科学』にする。勘と経験に頼らず人を選ベる仕組みとは」、The Huffington Post Japan、2017年12月21日、https://www.huffingtonpost.jp/enjapan-success/big-data_a_23303409/
・西村崇「AIで離職率を半減させた会社 人事にAI活用(上)」、日本経済新聞 電子版、2018年8月2日、https://www.nikkei.com/article/DGXMZO33110240Y8A710C100
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