バフェットの苦悩が映し出す米国株の割高感

伝説の投資家であるウォーレン・バフェットは現在、かつてないほどに投資に苦しんでいます。その内容というのは、バフェットがバークシャー・ハザウェイの株主に宛てている「株主への手紙」(手紙は1年に1度公表される)に示されています。

バフェットの「ネガティブ」な手紙

今年の手紙のなかには、「長期的な展望が見込める企業を買うには、今はその価格があまりにも高すぎる」「今後ずっと保有できる株式に余った資金を使いたいが、その展望は明るいとはいえない」といったネガティブな言葉が並んでいます。

これらの言葉が発せられた背景には、世界で膨張するマネーが企業の本来の価値を大幅に上回る水準にまでM&A価格を押し上げているということがあります。現実にバフェットは、2016年1月に航空・エネルギー向け金属部品製造のプレシジョン・キャストパーツを買収して以来、大型のM&Aをまったくしていません。

M&Aが困難になっている事情

みなさんもご存知のように、バフェットは割安に放置されている企業の株式に投資したり、M&Aをしたりして、バークシャーを世界でナンバーワンの投資企業に育てあげました。しかし、溢れたマネーによって多くの割安株の価格が高騰し、バフェットといえども3年にわたって大型のM&Aを実現するのが困難になっているのです。

そのような状況から、バフェットは2018年から自社株買いを実施していますが、その自社株買いは2019年も2020年も継続される見通しにあります。これは、米国株の先行きが決して安泰ではないことを暗示しているように思われます。

米国株式市場の関係者は楽観的だが…

ところが、米国の株式市場の関係者の多くはバフェットとは対照的に、楽観的な見通しのもとに行動しています。米中の貿易協議は決裂しないというのが絶対条件ではありますが、米国株は4月には再び高値を抜いて上昇し続けるという意見が大勢を占めているのです。

たしかに、FRBが金融引き締めを緩めたことによって、株式市場は再び安定を取り戻すことができました。しかし、FRBが金融引き締めを緩めたのは、それだけ景気の減速や後退への懸念が強いという事態を表していることを忘れてはならないでしょう。

(お知らせ)私のブログ『経済を読む』においては、経済や投資の大事な局面ではその流れを分析しているので、ぜひ参考にしてみてください。
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