上3つの他にも、富裕層が別荘のある生活を望む理由があります。単に遠く離れた、非日常の場所にステイするのであれば、リゾート地の高級ホテルや会員制ホテルで過ごすという選択肢もあり得ます。しかし、別荘はホテルと違い自身の所有物であり、予約の手間や面倒な制約もありません。何より、他の宿泊客やホテルスタッフの目を気にする必要がありません。
・家族や親族との時間を大切にする
富裕層には、多忙なスケジュールを都市部で日々こなしている方も少なくありません。そのようなエグゼクティブに属する人々にとって、日常の雑事から離れて自分一人でボーッとできる時間や、家族・親族だけでノンビリと過ごせる時間は、何物にも代え難い貴重なものになります。
別荘という、物理的に日常の雑音から切り離された空間に身を置くことで、日常の延長線上ではないオフの過ごし方や、家族・親族の絆を強化することが可能になるのですね。とりわけ中華系やユダヤ系の富裕層では、この目的が顕著に見えます。私の実家は別荘持ちではありませんが、親族や両親の友人が夏休みなどに別荘に招いてくれ、良い子供時代を過ごせたと感謝しています。
・真に大切な友人のみを招いて絆を深める
別荘は一人で、または家族・親族とステイする以外にも、本当に大切な友人を招く場所としても有効です。一般の会食やパーティの場合、好ましくない人物が紛れて接近してくることもよくあることで、ジックリ向き合いたい相手とは思うように会話もできないことが常です。別荘というプライベートな空間であれば、真に大切な人間のみを招くことができますし、普段ならば呼べない相手を招いて、胸襟を開いて話をすることも可能です。
特に欧米系富裕層には多い別荘の使い方ですね。大学時代や社会人になって以降、やはり別荘に集う仲間というのは、深く長い付き合いになる人間が多いなと個人的にも感じます。その点、安倍総理がインドのモディ首相を山梨県鳴沢村の別荘に招いて夕食を共にしたことは、外交的にも理に適っていたと言えそうです。
富裕層の別荘は災害対策にもなる?
最近、富裕層の間で別荘を所有することに、新たな目的が加わった感があります。阪神淡路大震災や東北太平洋沖地震、近年では熊本地震の発生など、日本は世界有数の地震国であることを実感しますね。各地を襲う集中豪雨・洪水の被害も顕著になってきています。この点で、富裕層の持つ別荘は、万が一の際の居住地(避難地)としても最適です。
社会で大きな役割を担っていることも多い富裕層にとり、いかなる状況下でも自分や家族の生活を維持し、速やかにビジネスの場に復帰できるバックアップ環境を整えておくことは、リスクマネジメントとしても有効です。このため、別荘に非常用の水・食糧・燃料などを備蓄しておき、災害対策の一つにしている富裕層も珍しくありません。自ら育てた野菜を使って漬け物やピクルスを作ったり、有機大豆で自ら味噌を仕込んだりする方もいます。