2019年1月22日 更新

PDCAサイクルからはイノベーションは生み出せないのか

中国のイノベーションが世界でも注目されていますが、ユニコーン企業(評価額10億ドル以上のテクノロジー企業)数も日本を上回っています。理由は多々ありますが、日本で広く普及しているPDCAサイクルがイノベーションを生みにくくしているとの意見もあります。それは本当なのでしょうか。

「QPMIサイクル」とは2002年設立のベンチャー企業「リバネス」の代表取締役である丸幸弘氏が考案した、イノベーションを生み出すためのシステムです。イノベーションを生み出すためには、個人の情熱(Passion)が必要であるとの前提で成り立っています。
まず、さまざまな事象から課題(Question)を見出し、その課題解決に対して情熱(Passion)を抱いて使命(Mission)をもって取り組むチームを組み、新たな価値(Innovation)の創出を目指す、という流れになります。
一方で「OODAループ」はもともと米国海軍で開発された軍事理論です。状況を観察して何をすべきか判断し、即座に行動するという考え方になります。

これを企業経営や組織運営に活用するようになったのは、変化の早い業界に素早く対応できるようになるからです。まず観察(Observe)して情勢を判断(Orient)し、意思決定(Decide)をしたら環境が変化する前に素早く行動(Action)するというのがOODAループの仕組みです。
これがなぜイノベーションに役立つのかというと、常に変化する市場に対応し続けることで、今後必要とされる商品あるいはサービスを予測し、すぐに市場投入してその反応を見るということができるからです。その試行の中で新しい商品あるいはサービスが生み出される可能性が高いということです。
しかしQPMIにしてもOODAにしても、最初に「観察」して「課題を見出す」ことが必要です。しかし目に見えない「潜在化」された課題を見出すのは難しいのではないでしょうか。
実はそのスキルを身に付けることができるのが、PDCAではないかと思います。たとえば商品の品質やサービスなどが満足できるレベルにない時、いかに向上させるかを「考える」からです。それはまさに理想と現実のギャップを生み出す原因を課題として見つけることにほかなりません。もちろん最初はピンポイントで課題を見つけ出すことができなくても、何度も「トライアンドエラー」を繰り返すことで精度が高まります。
さらにその品質を高めるために思考するうちに、別の視点からアイデアが生まれることがあります。これこそが、イノベーションにつながるのではないでしょうか。

おわりに

PDCAはビジネスマンのスキルを向上させるためには必要なシステムだと思います。そのスキルがあって初めてQPMIあるいはOODAとしったシステムも運用できるわけですし、PDCAだけでも視点を変えて取り組めば新たな発想は生まれると思います。

future_captain

仕事の中で発見した“変動”のリズムから投資に目覚め、株式のうねり取りを得意とする。またポーカーの腕はかなりのもの。トーナメントに勝ち進むスキルは身に付けたが、その先のプレイ時間を確保できないのが悩み
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