短期的な「得」と引き換えに失っているもの
こうした行動によって、金額的には、いくばくかの「得」をすることができるかもしれない。しかし、その「得」を引き出した相手からは、あなたの思考の本質がスケルトンさながらに透けて見えていることを忘れてはならない。
それが、お金の教養STAGEの高い相手であるならば、なおさらだ。あなたがいくら上手に立ち回ったつもりでも、お金の教養STAGEの高い相手からは、面白いくらい手に取るようにすべての思惑が透けて見えている。
唯我独尊の思考が透けて見えては、到底信用を築くことはできない。結果的に、お金の教養STAGEが高い人にかわいがってもらえるチャンスも、新しいSTAGEへと引き上げてもらえるチャンスも、そこから新たな出会いが広がるチャンスも失うことになる。短期的な「得」と引き換えに失っているものは、とてつもなく大きい。
自分のお金であっても、他人のお金であっても使い方が変わらない、むしろ他人のお金だからこそ、使わないか、自分のお金以上に大切に使う──人間的信用を築くうえでは、こうした行動が不可欠だ。金額的な「得」は数万円、もしかしたら数十万円かもしれないが、そこで失った人間的信用は100万円、1億円を出しても買うことができないのだから。
(『お金原論』247〜251ページより転載)
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泉 正人
ファイナンシャルアカデミーグループ代表一般社団法人金融学習協会理事長
日本初の商標登録サイトを立ち上げた後、自らの経験から金融経済教育の必要性を感じ、2002年にファイナンシャルアカデミーを創立、代表に就任。身近な生活のお金から、会計、経済、資産運用に至るまで、独自の体系的なカリキュラムを構築。東京・大阪・ニューヨークの3つの学校運営を行い、「お金の教養」を伝えることを通じ、より多くの人に真に豊かでゆとりのある人生を送ってもらうための金融経済教育の定着をめざしている。『お金の教養』(大和書房)、『仕組み仕事術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、著書は30冊累計130万部を超え、韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。一般社団法人金融学習協会理事長。