ブレインストーミング(ブレスト)失敗しないルールと楽しみ方

近年、ブレインストーミングの時間が設けられている会議は珍しくありません。その会議の中で、目が覚めるほど斬新なアイデアが生まれたことはありますか?ブレインストーミングを進行する人と参加する人、それぞれの立場ごとに、うまくいくコツをお伝えします。

2019.5.9

ブレインストーミングとは

ブレインストーミング(以下ブレスト)は、1938年アメリカの広告代理店で副社長をしていたA・F・オズボーン氏が考案したディスカッションの方法です。
ひと昔前までは、Google、IDEO、マッキンゼー・アンド・カンパニーなどの世界的企業が導入する「画期的な会議方式」でしたが、現在は企業の規模、業界問わず、たいていの会社が当たり前に取り入れています。会議中に白紙のメモが配られ、思いついたアイデアを自由に書くよう言われたことはないでしょうか?
ブレストの基本ルールは、複数人が同じテーマについて自由意見を出し合い、最後にまとめ直すというもの。普通のミーティングと違うのは、大量意見、批判厳禁(判断遅延とも)、自由奔放、便乗発展という4つの絶対条件があることです。

ブレストの進行役が楽になるコツ

ブレストがうまくいくかどうかは、進行役にかかっています。発言が少なければ無理強いせず、各自が意見を紙に書き、頭の中で整理したうえで順番に発言してもらいましょう。
また、書記係が勝手に意見を要約しないことも大切です。文章が長くなりそうなら、発言者と参加者全員に「どう要約しますか?」と必ず確認してください。
よくある失敗例は、進行係がゲーム性を強調するあまり、参加者は「いい大人が、レクリエーションを強いられている気分」になることです。やたら開放的なムードを演出しても、「茶番劇だ」と感じるでしょう。ごく普通のテンションで進行してください。
「自由」という概念にこだわらないのが、進行役が楽になるためのコツです。ブレストなんて無意味だ! と語る人の多くは、参加者の創造性に丸投げし過ぎなのです。
ブレストに慣れた参加者ばかりなら別ですが、普通は多少の制約があってこそ、自分なりの意見を出せるものです。
例えば、面白法人カヤックのブレストには、テーマに「夜の」という小さな制約を設けるテクニックがあるそうです。「夜の〇〇エリア店舗拡大」「夜の売上げ20%向上」「夜のクラウドシステム導入」……、これなら斬新なアイデアが出てきそうですね。
ブレストの考案者オズボーン氏が作ったチェックリストを活用するのもおすすめです。以下に一部抜粋してみましょう。
  • 他に使い道は? 
  • 大きくしてみたらどうか? 
  • 逆にしてみたらどうか? 
  • その他

参加者がブレストを楽しむコツ

参加者は、時間配分や禁止事項といった小さな制限を、意識的に楽しむ姿勢が大切です。常に批判厳禁を心がけ、便乗発展で大いに楽しんで下さい。
批判はメモにでも記録しておき、ブレスト終了後に発表します。便乗発展とは、誰かの意見に上乗せ、上書きして、複数の意見を融合していくことです。
ブレストが終わり、アイデアを出しきれた人は誇らしいでしょう。いまいち言語化できなかった人は、不完全燃焼で悔しいかもしれません。どちらにしても、次回はもっと楽しみましょう。
前述したオズボーンのチェックリストも役に立つでしょうし、以前、フレームワークによる発想方法の記事を書きましたが、フレームワークのレパートリーを増やすのも有効です。

ブレストは、終わってからが肝心!

ブレストが終了したら、通常の会議やミーティングに戻ります。進行役と参加者は協力して、多数決、バランスシート、設定尺度の表にするなどの方法で意見をまとめましょう。
意見のモレと重複をチェックするなら、「MECE」という整理方法が便利です。例:「園児、小学生、高校生、大学生、受験生」をMESAで整理すると、中学生がモレていて、受験生とその他すべてが重複しています(今どきは園児も受験しますから)。
慣れが必要なブレストですが、石になる会議よりは楽しいはず! まずは、気心の知れたチームミーティングで試してみてはいかがでしょうか。
参考 照屋華子/岡田恵子共著「ロジカル・シンキング Best solution」東洋経済新報社,2001年
しらとはる

しらとはる

北海道在住のフリーライター。モットーは中庸の王道。スピリチュアルから家計費の節約まで、興味の赴くまま文章を書いています。
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