流される力(9)指南信託 先生やコーチに思考を預けてみよう

自分の「我」や「未熟なこだわり」を捨て、結果を出している人のアドバイスを素直に聞いてそのまま行動する、これが「流される力」=信託思考です。より多くの人に流されることで、速く成長し、人生の成功を手にできます。泉正人著「流される力」より抜粋。

2018.10.24

指南信託  先生やコーチに思考を預けてみよう

思考信託に到達するまでの2段階目が「指南信託」です。
指南とは、「教え導くこと」をさしますが、

指南信託は、金銭の授受や明確な上下関係をべースとした先生やコーチなどに全面的に流される段階

です。
おそらくほとんどのみなさんが、子どものころや若いころに指南信託を経験したことがあるのではないでしょうか。
たとえば、子どものころは、学校や学習塾の先生の教えにしたがって勉強をしていきます。スイミングスクールではコーチに泳ぎ方を習います。つまり、先生やコーチに教えられた方法で行動していたはずです。
中には自分のやり方で優秀な成績がとれる才能のある生徒もまれにいますが、僕も含めた多くの人にとっては、教えられたとおりに勉強したり、泳いだりすることが、テストで良い点をとったり、上手に泳ぐための近道だったと思います。
つまり、先生に思考を預け、行動していたことになります。
自動車の教習所に通うことも指南信託の一種だといえるでしょう。
当たり前ですが、車を運転するには運転免許を取得しなければなりません。独学で運転を学ぶよりも、教習所に通って講習を受けたほうがよいというのは、多くの人が理解しているでしょう。
教習所のカリキュラムと教官の指導に全面的にしたがうのが、運転技術をマスターするには最短の近道だといえます。
教官に対して、「わたしはこのように運転したほうがいいと思います」と異を唱える人はまずいないでしょう。そんなことをすれば、明らかに上達するのには遠まわりになってしまいます。
数十万円ほどの指導料を支払うのと引き換えに、本来であれば何力月もかかってしまうような技能と知識を、最短の期間で教えてくれるのが教習所なのです。

先生やコーチに任せれば早く技術や知識を習得できる

僕もそうでしたが、社会に出る前は、先の例のように自分の思考を素直に預けているにもかかわらず、社会人になると途端に自分の考えを前面に出してしまう人が多くなってしまいます。
もしも、

なにかの知識や技術を身につけたいのであれば、その道の先生やコーチを全面的に信頼して、教えを請うほうが早く知識や技術を身につけられます。

たとえば、ゴルフをいちからはじめるのであれば、自己流で練習をするよりも、ゴルフスクールなどのコーチから指導を受けたほうが、早く目標のレベルに達することができるはずです。僕の知り合いには、コーチに習ったとおりに練習し、ゴルフをはじめて1年間でスコア85を出した人もいます。
泳げるようになりたければ、自己流で泳ぎ方を身につけようとするよりも、水泳教室に通うほうがはるかに上達は早いでしょう。
また、金銭の授受と知識の上下関係があるという意味では、本を読むことも指南信託の一種といえるでしょう。
たとえば、簿記の知識を学びたいからといって、自己流で勉強をはじめる人はあまりいないと思います。まずは簿記に関する本やスクールで基礎知識を学んでからのほうが、実践での覚えも早くなるでしょう。

自分自身の日の前にある課題(悩み)は、どこかでだれかがすでにぶつかった課題と同じものです。

そしてその人は、その課題を乗り越えたからこそ、いまがあるはずです。したがって、直面した課題を乗り越えるためには、その課題を乗り越えた人に教えてもらうのがいちばんの近道だといえます。
これは勉強や水泳を例にするとたいへん理解しやすいのですが、多くの人が社会に出た途端に忘れ、自分のやり方に執着してしまいがちです。
指南信託の考え方をふだんの生活や仕事に取り入れることで、成長のスピードが早くなるといえるでしょう。
また、指南信託も世間信託と同様に、すぐに思考信託できる相手が見つからない場合のトレーニング方法として取り組むと、短期間で成功体験を味わうことができます。
]]>