単数形theyを好む人々とは
「私のことはtheyで呼んでほしい」と求める人々には、たとえばイギリスのシンガーソングライターであるサム・スミス氏がいます。
スミス氏は2019年3月、自分がノンバイナリーであることをカミングアウトし、自分にはtheyやthemを使ってほしいと発表しました。モデルのオスロ・グレイス氏も「自分の」という意味でtheirを用いて表現したことで有名です。
2人が用いた単数形のthey・their・themが、「特定の人」を指す代名詞である単数形theyの普及に大きく貢献しました。
スミス氏は2019年3月、自分がノンバイナリーであることをカミングアウトし、自分にはtheyやthemを使ってほしいと発表しました。モデルのオスロ・グレイス氏も「自分の」という意味でtheirを用いて表現したことで有名です。
2人が用いた単数形のthey・their・themが、「特定の人」を指す代名詞である単数形theyの普及に大きく貢献しました。
英会話のthey isは日本語で「その人(あの人)は…です」
単数形theyの普及が進むと、これを日本語としてどう訳せばよいかという問題が出てきます。「彼」や「彼女」の二者択一ではない、男女二元論の枠組みを出た訳語が単数形theyには必要です。
ヒントとして人間に使う複数形theyの訳語を考えてみましょう。たとえば、「そうした人々」という表現が可能です。これを単数形にして、「その人(あの人)」「その子(あの子)」「そいつ(あいつ)」あたりが、単数形theyには当てはまるかもしれません。すると、「昨日○○さんがA店に行ったら、店員さんがあの子に…って言ったんだって」のような訳になるでしょう。
ヒントとして人間に使う複数形theyの訳語を考えてみましょう。たとえば、「そうした人々」という表現が可能です。これを単数形にして、「その人(あの人)」「その子(あの子)」「そいつ(あいつ)」あたりが、単数形theyには当てはまるかもしれません。すると、「昨日○○さんがA店に行ったら、店員さんがあの子に…って言ったんだって」のような訳になるでしょう。
ただ、日本語の場合は主語や目的語の省略が多く、「○○さん」のように名前と敬称を使って表現するほうが自然な場合が多いのも事実。学校教育ではheやsheのように画一的な訳語を教えたがるかもしれませんが、単数形theyに対してはより柔軟な姿勢が必要でしょう。
言葉の変化は価値観や概念の変化
年をとると「最近の若い人は…」が口癖になります。言葉について言われるなら、敬語や慣用表現の誤用、ら抜き言葉が主なターゲット。しかし、言葉の使い方に「絶対な正しさ」はありません。言葉はその時代における価値観や概念とともに変化するからです。
2019年は、そうした変化が1つ認められた年だといえます。現在、単数形theyは不特定の人やノンバイナリーの人に使われていますが、今後は、ノンバイナリーではないけれどよりニュートラルな表現を好む人に広く使われる言葉になるかもしれません。
【参考】
・they|Merriam-Webster https://www.merriam-webster.com/dictionary/they
・増える単数形の「They」|THE WALL STREET JOURNAL. https://jp.wsj.com/articles/SB12553795185919473670004580581551868398446
・米辞書の今年の言葉、ノンバイナリー示す「they」に決定|BBC NEWS JAPAN https://www.bbc.com/japanese/50754983
・they|Merriam-Webster https://www.merriam-webster.com/dictionary/they
・増える単数形の「They」|THE WALL STREET JOURNAL. https://jp.wsj.com/articles/SB12553795185919473670004580581551868398446
・米辞書の今年の言葉、ノンバイナリー示す「they」に決定|BBC NEWS JAPAN https://www.bbc.com/japanese/50754983
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