流される力(19)素直さに年齢や立場は関係ない

自分の「我」や「未熟なこだわり」を捨て、結果を出している人のアドバイスを素直に聞いてそのまま行動する、これが「流される力」=信託思考です。より多くの人に流されることで、速く成長し、人生の成功を手にできます。泉正人著「流される力」より抜粋。

2019.3.14

素直さに年齢や立場は関係ない

前(「思考をまねすれば 結果も変わる」の回)にもご紹介したトリンプ・インターナショナル・ジャパンの元社長である吉越浩一郎さんをまじえて数人で食事をしていたときの話です。
iPhone(アイフォーン)をもっている僕らが、iPhoneはいままでの携帯電話とは違って、仕事の効率化、情報共有などを進めるうえで、とてもすぐれたツ―ルとして使えることを実際にお見せしたのです。
その翌日、吉越さんはすぐにiPhoneを購入されました。
しかも、数力月たったころには、すでにiPhoneを情報管理のツールとして相当活用しており、雑誌のインタビューでも「iPhoneの活用術」をテーマにお話しされるほどに使いこなしています。
僕よりもふた回り以上も年上の方に対して、このようなことを言うのは恐縮ですが、吉越さんはとても素直な方です。
自分よりすぐれていると思ったところは、年齢や地位などに関係なく、なんでも信託し、それをすぐに行動に移しています。
その素直さが、生活やビジネス、そして人付き合いなどすべてにつながっていると感じさせる方なのです。

思考信託に年齢や立場などは関係ありません。

思考信託する相手が年下であろうと、立場が違おうと、素直に聞き入れることができるように自分の思考を変えればよいのです。

素直に助言を守った世界一のプライベートバンカー

僕が経営者として思考信託しているトラスティのひとりに、水永政志さんという方がいます。
現在は、上場企業のスター・マイカという不動産会社の創業経営者をされています。
水永さんは東京大学を卒業後、三井物産、UCLA経営大学院(MBA)での海外留学を経て、ボストン・コンサルティング・グループに入社。その後、ゴールドマン・サックス証券に移籍したあと、起業をし、その会社をヘラクレス市場に上場させたという、すばらしい経歴の持ち主です。
水永さんは、ゴールドマン・サックス証券時代には、富裕層の資産を預かり、運用するプライベートバンカーとなり、世界中の資産家や上場企業オーナーから資産運用を任される立場になりました。
その時代の活躍ぶりは、金融業界ではたいへん有名で、ついには運用資産額が世界一のプライベートバンカーになり、「伝説のプライベートバンカー」と呼ばれるまでになったのです。
そのような輝かしい実績を誇る水永さんも、諸先輩方の助言を素直に守ることによって、大きな成果を出したと言います。
ゴールドマン・サックス証券で研修を受けているときに、当時世界一のプライベートバンカーだった先輩に、

「運用資産が30億円以下の人は引き受けるな」

と言われたそうです。
ところが、会社には毎月何十億円も集めなければならないという目標がありました。したがって、数億〜10億円ほどの資産を、多数の人から集めるというのが普通のやり方だったそうです。
実際に10億円ほどの資産をもっている方から、「資産を運用してほしい」という依頼を受けたときや、日標に達しないときなどは何度も引き受けようと思ったそうですが、トラスティである当時世界一のバンカーの言うことを守り続けました。
トラスティの言うとおり、「30億円以下はお引き受けできませんので、30億円の資産になってから、また来てください」と、のどから手が出るほどほしい数億円の依頼を、すべて断ったのです。
それから1年たったころ、30億円以上の資産をもつ富裕層の方から、たくさんの資産運用を任されるようになり、結果的に世界一のプライベートバンカーとなりました。
経営や金融を学び、学歴も知識もある水永さんですが、「成功者のまねをする」という思考をもち、そのとおりに行動することで、短期間で大きな成果を手に入れたのです。

成功者の教えを素直に聞くと、短期間で効果が得られる

という良い例だと思います。
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