「モノ」より「経験」に支出すべき5つの理由

ボーナスが支給されたら、宝くじが当たったら、もしも自由に使えるお金が手に入ったら、あなたは何に使いますか?
こんなとき、迷わず「モノ」より「経験」に支出するのがお金の作法なのです──『美しく生きる女のお金の作法』特別編集[第2回]
2017.8.8(2021.5.20更新)

1.モノを買った満足感は意外と短いから

夏と冬に支給されるボーナス、支給されたらうれしいですよね。自由に使えるお金が手元に残ったら、あなたは何にお金を使いますか?

気になっていた靴? バッグ? アクセサリー? 最近は、将来への不安から「全部貯蓄に回す」という人も多いようですが、まとまったお金の使い道として真っ先に「モノ」を思い浮かべる人も多いはず。

そんなとき考えたいのが、そのモノの価値を味わう満足感がいつまで続くか、ということ。気に入って買ったはずのバッグの出番がなかなかなかったり、あんなに欲しかったはずの靴なのに買ったとたんにまた別の靴が欲しくなったり……。

モノそのものはなくならないかもしれませんが、その“価値の寿命”は案外短いものなのです。寿命が短いものに大切なお金を支出することは、もったいないことともいえるのです。

2.モノを「所有」する時代から「活用」する時代になったから

最近は「断捨離」や「ミニマリスト」のような“モノを多く持たない暮らし”を実践するライフスタイルに注目が集まり、ブームが続いています。

日本が豊かな国へと発展する途上だった高度経済成長期には、テレビや冷蔵庫、車など、それまでになかったモノを所有することに大きな価値がありました。ですが、すでにモノの所有が日本の隅々に行き渡り、モノがあふれる時代となった今では、モノを所有することにかつてほどの価値はなくなりました。

車をはじめとする生活に必要なモノの多くは、レンタルやリサイクル、シェアのサービスが登場しています。いまや、モノは「所有」する時代から「活用」する時代になっているのです。

3.見栄のためにモノを買うのは意味がないから

バブル崩壊以降は人々の価値観も多様化して「これさえ持っていれば自慢できる」というモノはほとんど見当たらなくなりました。つまり、「人からよく見られたい」という動機にもとづく“見栄消費”の対象もなくなっているのです。

また、男性が女性を見る目も変わってきています。私の周りを見ても、素敵に着飾っている女性よりも、無駄遣いをせず堅実な女性を魅力的と感じる男性が増えているように感じます。収入が思うように増えず、将来へ向けた自助努力での貯蓄がマストな時代だからこそ、男性のほうでも「無駄遣いをしない女性」をパートナーに選びたいという意識が働いているのかもしれません。

こんな時代ですから、周りによく見られたいという理由で自分を飾るためにモノを買うのは、ほとんど意味がありません。もちろん、自分が本当に気に入っているモノのコレクションや、「私は誰が何を言おうとこれが好き」という“こだわり”に基づく買い物には、時代を問わず価値があります。他人の価値観に左右されずに買ったモノであれば、価値の寿命も長くなるでしょう。

でも、そうではなくただ何となく「これを持っていると素敵な女性になれそう」という漠然とした動機だけで高価なモノを買っていたとしたら、限りなく“浪費”に近い行動になっています。今すぐやめて、他の使い道へと切り替えましょう。

4.「経験」は生きている限り自分の中に確実に残るから

では、何にお金を使うべきなのか――? 

答えは明快。“経験”です。

経験というのは、「自分の中身を磨き、成長につながる経験」のこと。例えば、少々高価な参加費がかかったとしても、興味のある講師が登壇する有料セミナーに参加してみる。あるいは、ちょっと背伸びして出かける感覚のある星付きレストランで食事をしてみる。そんな経験にお金をかける意識付けをしてみましょう。

「経験なんてすぐに消えてしまうから、もったいない」と思いますか? いえ、むしろ逆です。経験は自分の中に確実に残り、生きている限り、活かされていきます。飽きたり、使い古したりすることはなく、長い寿命を保ってくれるのはモノよりも経験なのです。

時には「この経験は失敗だった」という手痛い支出もあり得ます。でも、これもまた次に活かせる経験となります。経験は“確実なリターンを得られる支出”であるという点で、とても合理的なお金の作法となるのです。

5.「経験」という買い物は非常に安いから

モノの消費の一例として「バッグ」で一級品を買おうと思ったら、どれくらいかかるでしょうか? 高級ブランド品であれば数十万円するものもざらにありますね。

一方で、三ツ星のフレンチレストランで食事をするとしたら、予算はどれくらいまで見積もるべきでしょうか? フルコースに最高のワインを楽しんだとして、どんなに高くても5万円程度ですね。

5万円の支出というととても高額に感じられるかもしれませんが、この支出で得られるインプットは膨大です。
料理としての味の素晴らしさはもちろん、一流レストランとしての空間の心地よさ、一つ一つの動作にもてなしの精神が宿るサービス、そして、そこに集まる人たちが創り出す上質な会話と空気感……。その経験を味わっている1秒ごとに身になるインプットは、あなたのライフステージを高める栄養として蓄積されていきます。「こんな素敵な時間を味わうために、また明日からがんばろう」という気持ちが生まれるとしたら、これから先に稼ぐことができる生涯収入にもプラスの効果があるはずです。

一流のサービスに触れる経験をするといいと伝えると、「私はまだふさわしくない」と敬遠する人がいますが、考え方を180度変えましょう。「ふさわしいから経験する」のではなく「経験するからふさわしくなる」のです。

実際、経験を積極的に「買う」ことで人生を変えていった人を私はたくさん見てきました。「どんな経験をしたいか、すぐに思い浮かばない」と迷うとしたら、身近にいる「素敵だなと思う人」「こんな人になりたいと思える人」が普段、どんな経験にお金を使っているか観察してみましょう。そして、その経験をマネしてみるのです。

気になるお稽古事に通う、話題のカフェに行ってみる、本を月に100冊読む、初めての地に旅行するなど、自分の中身を育てる経験であれば、何でもOK。お金の作法を高めたいなら、支出すべきは圧倒的に「モノ」より「経験」なのです。

パートナーに左右されずにお金の不安を自分で解消する方法とは?

(記事は、『美しく生きる女のお金の作法』から本サイトのために特別編集したものです。)

大竹のり子

ファイナンシャルプランナー、株式会社エフピーウーマン代表取締役

出版社の編集者を経て2005年4月に女性のためのお金の総合クリニック「エフピーウーマン」を設立。 現在、雑誌、講演、テレビ・ラジオ出演などのほか、『お金の教養スクール』の運営を通じて正しいお金の知識を学ぶことの大切さを伝えている。『なぜかお金に困らない女性の習慣』(大和書房)、『老後に破産しないお金の話』(成美堂出版)など著書は40冊以上に及ぶ。ファイナンシャルアカデミー取締役。一般社団法人金融学習協会理事。http://www.fpwoman.co.jp/

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