2019.4.22
キャッシュレス化対応で補助金を受けられる?
キャッシュレス化対応による補助金政策の中で、忘れてはならないのが、経産省主導のキャッシュレス・消費者還元事業です。2019年10月の消費税率10%への引き上げと同時に、キャッシュレス決済(クレジットカード決済など)を行った場合に最大で購入代金の5%分のポイントを消費者に還元する、という趣旨です。これに伴い、キャッシュレス化対応を実施する事業者も補助金を受けることが可能になりました。
そもそも、キャッシュレス・消費者還元事業とは、消費税率10%へ引き上げ後の一定期間に限り、クレジットカード決済などのキャッシュレス手段を使った買い物に対してポイント還元・割引を支援する、というものです。実施期間は、2019年10月から2020年6月までの9カ月間です。一般の中小・小規模事業者の場合、消費者還元5%、決済事業者の加盟店手数料率3.25%以下への引き下げを条件として、決済事業者への加盟店手数料の1/3を国が補助金で支援してくれます。
また、キャッシュレス決済用の端末導入費用の1/3を決済事業者が負担し、残り2/3を国が補助金で支援しますので、事業者負担をゼロにすることが可能です。なお、フランチャイズ店舗などの運営の場合、消費者還元が2%で良い代わりに、キャッシュレス決済用の端末導入費用や、決済事業者の加盟店手数料への補助金支援がありません。フランチャイズでのビジネスを行っている方は、ここは注意が必要ですね。
キャッシュレス化対応の補助金は副業・サイドビジネスでも受けられる?
2019年10月からの消費税率10%引き上げに伴い、飲食店など元々軽減税率対応が必要な事業者については、補助金を受ける対象となっていました。しかし、今回の経産省主導によるキャッシュレス・消費者還元事業では、本来は軽減税率対応が不要な中小・小規模事業者が対象となっていることに旨味があります。副業・サイドビジネスとして小規模に起業しているビジネスパーソンであっても、補助金を受けられる可能性が出て来たのですね。キャッシュレス化対応で補助金を受けられる中小・小規模事業者は、「中小企業基本法第2条に準じる、」とされます。
具体的には、小売業であれば、「資本金の額又は出資の総額が五千万円以下の会社又は常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主」となっています。旅館業であれば、「資本金五千万円以下又は従業員200人以下、」ソフトウエア業・情報処理サービス業ならば、「資本金3億円以下又は従業員300人以下、」ということです。起業したばかりであったり、ましてや副業・サイドビジネスであったりすれば、規模感から見れば、今回のキャッシュレス化対応の補助金を受けられる対象になりそうですね。
ちなみに、中国の主要都市では、今や道端にある屋台ですらキャッシュレス決済に対応しており、大いに驚かされました。気掛かりなのは、副業・サイドビジネスで行う方も多い通販・ECビジネスのケースでしょう。例えば、マーケットプレイスに出店している場合はどうでしょうか。結論としては、出店者が「中小企業基本法第2条に準じる中小・小規模事業者」であり、かつマーケットプレイスがキャッシュレス・消費者還元事業に参加する前提であれば、出店者はポイント還元・割引の補助金を受けることが可能です。
キャッシュレス化による事業者のメリットとスケジュール感は?
キャッシュレス化対応は事業者が補助金を受けられるだけでなく、お客さん側にもメリットはあります。会計がスムーズになる、ATMから現金を引き出す頻度を減らせる、サービスポイントが貯まる、家計管理がしやすくなるなどが挙げられますね。他方、事業者側のメリットも相当に大きいものです。例えば、オンラインショップの決済方法には、クレジットカード払い、代金引き換え、コンビニ支払い、銀行振込などがあります。現状、6割以上の利用者がクレジットカード払いを選択しますので、キャッシュレス化対応で売上増を期待できます。
また、実店舗であれば、キャッシュレス決済なら現金の受け渡しが不要になり、お釣りの渡し間違いもありません。インバウンド需要の高まりに伴う、偽札を掴まされるリスクもありません。何より、営業時間中の会計回数が多い飲食店・食品販売などの業種では、会計対応に要する工数が店舗運営を圧迫しています。ランチタイムや繁忙期の会計がスムーズになり、対応に要する工数が小さくなれば、人件費の圧縮も可能です。さらには、店舗従業員のノミ行為も防止できますね。
なお、キャッシュレス化対応の補助金を受けるためのスケジュール感ですが、4月初旬から中小・小規模事業者の登録が開始される予定です。その際、各決済事業者が事業者に提供する手数料率や、キャッシュレス対応端末などのプランを公開するよう経産省が求めています。補助金を受ける対象となる中小・小規模事業者の要件も正式アナウンスし、事業者が迅速に対応開始できるようにするとのことですので、経産省が用意した公式サイト(https://kzt-hojo.jp/)をマメにチェックすると良いでしょう。